この寄付金は、イエメンで現在もっとも重要とされる農業分野の開発のために使われる予定であり、マメ科植物や穀物の栽培のほか、灌漑システムの構築や農業施設の修復、畜産の充実などに充てられる予定である。 FAOは、日本からの支援はイエメン国内における世帯収入の増加をもたらし、食料が不足している家庭への非常に重要な援助になるだろうと述べた。
現在イエメンでは、2015年に勃発した地域紛争が継続しており、人口の約53%が深刻な飢餓に苦しみ、危険と隣り合わせで暮らしている。現代における世界最悪の人道危機ともいえる状態であり、とくに生命維持にかかわる農業部門の改善は緊急の課題といえるだろう。しかしイエメンの現状は、十分な情報発信がされないなどの理由で、私たちの認識も低いのが現状ではないだろうか。
FAO事務局長のJose氏は、日本からの寄付はイエメンで飢餓に苦しむ人々の生活を大きく変える可能性があり、人々の命を救うことにもつながると述べた。これらの寄付は、イエメンの農業を進歩させることに加え、持続可能性を念頭に置いた水・土壌・土地活用に生かされる予定である。農村部の雇用拡大は、地元経済を活性化させることにもつながるだろう。
また同会議では、飢餓の撲滅を含む持続可能な開発目標の達成に向けた開発のためのビジネスモデルとしての農業投資、食品ロスに焦点を当てた栄養及びフードシステムについての確認が行われた。そして今年日本において開催されるG20や第7回アフリカ開発会議、2020年の栄養サミットに向けた協力など、日本企業にとっても関係の深い事項についても話し合いが行われており、今年開催される大きなイベントへの注目度の高さがうかがえる。