そんな中インドのナレンドラ・モディ政権は、現在自動車や二輪車の売り上げのうち1%に満たない電動の乗り物の売り上げを2030年までに30%まで引き上げる目標を掲げている。しかし、同国政府は地元の自動車製造業者らに、電動の乗り物にシフトさせるような明確な政策は立てておらず、国内にリチウム電池の生産基盤が無いことによるバッテリーの費用の高さや、充電インフラが不足していることなどからも難航が予想されている。
そんな中、現在勢いがあるのがバイク市場だ。人口13億人を超えるインドのバイク市場は巨大で、昨年度は1,900万台を売り上げ、車の販売台数の6倍も売り上げている。この販売台数は中国の1,700万台をも凌いでいることからも、その市場の大きさが分るだろう。そして電動自動車(EV)についてのニュースが数多く取りざたされているが、最近になって電動化の波は、二輪車にも波及してきている。
昨年度、電動自転車の販売台数が伸び悩む中、電動二輪車は前々年度の2倍となる54,800台の販売数を記録した。今後も電動二輪車の市場は大きな成長が見込まれており、2030年には販売台数200万台に上ると見られている。
<DIGIMA NEWS編集部の視点>
電動バイクの価格は、ガソリンで走行するバイクと比較してもほぼ同価格で販売されており、自宅のコンセントで簡単に高速充電することが可能なため、実際にこれから新たに二輪車を購入しようとする人達の中では、費用の面で電動二輪車の購入を選択する人が増えてきている。唯一の欠点としては、走行スピードや山道を登ったりする際には、ガソリン走行車と比べてパワーが劣るという点だが、その点については、国外からの輸入部品に頼って改良していくしかない。
このような背景を受け、インドのオートバイメーカーであるBajaj MotorやTVS Motor、そして日系メーカーのヤマハやスズキもインド国内での電動二輪車のポテンシャルに注目をしている。なお。スズキは既に2020年までにインド国内での電動スクーター発売を予定している。
今後、オートリキシャなど三輪のものも含めた公共輸送機関の電動化を進めるインドでは、市民の意識が変わり始めていることで、今後の市場動向、勢力図も大きく変化していきそうだ。