中国・パキスタン共同の6兆円発電プロジェクトが見送り 一帯一路に危機感
財政難にあるパキスタンは、中国との国境付近の開発地域・中パ経済回廊で予定された600億ドル(約6兆円)規模の石炭発電プロジェクトの保留を決めた。供給電力が「すでに十分確保できる」ため、計画の見送りを中国側に伝えたという。現地英字メディア・ダウンが14日に報じた。
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中国融資を主とする開発計画・中パ経済回廊は、中国北西部の新疆ウイグル自治区カシュガルと、アラビア海に面するパキスタン南西部のグワダル港を結ぶ3,000キロ地域一帯を指す。幹線道路の整備ほかガスパイプライン、ダム、風力、石炭、太陽光の各種発電施設、港湾と空港、通信インフラなど数十の開発計画がある。中国共産党政権主導の大陸間経済圏構想、一帯一路の一環でもある。
保留となったのは、同国北部パンジャブ州で中国輸入の石炭により1,320メガワットを生産するラヒム・ヤカーン(Rahim Yar Khan)石炭発電プロジェクト。発電所の所有は中国5大電力会社の一つで国有の山東華能(ファーノン)が担う。ナワーズ・シャリフ前首相が推進していた計画だった。
報道によると、イムラン・カーン現政権は、向こう数年間に供給できる発電容量は十分に確保できるため、この大型電力プロジェクトにはすでに関心がなく、保留することを中国側に伝達したという。
2018年12月20日に北京で開催された中パ経済回廊の第8回合同調整会で、フスロ・バクチアル(Khusro Bakhtiar)企画開発大臣は、開発計画リストのなかから、この石炭発電プロジェクトを削除し、電力市場を最適化することに言及していた。
パキスタン政府は2016年6月という早い時期に、すでに輸入燃料の制限を設けている。保留となった石炭発電は輸入石炭ベース。ダウンの記事によると、政府筋は「全く必要のないプロジェクトで、すでに悪化している電力部門の財政の負担になる」と語った。しかし、発電所を建設予定のパンジャブ州政府は、この計画を強く推していたという。
2018年8月に発足したカーン政権は現在、中パ経済回廊の関連プロジェクトを含む公共事業計画を大幅に見直している。記事は政府関係者の話として、内閣は公共開発計画から「政治的な動機付けによる」400あまりのプロジェクトの削除を固く決意している、と報じた。
同政府筋によると、水不足対策と発電のためのディアマル・バシャ(Diamer Bhasha)ダム計画も、中パ経済回廊にリスト入りしているものの、進展はないという。
公共事業の見直しについて、同筋は「私たちは財源を無用なプロジェクトに費やしたくない。良いお金を悪いものに投じたくはない」とダウンの取材に答えた。
(翻訳編集・佐渡道世)
ソース:https://www.epochtimes.jp/2019/01/39266.html
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