米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8日、広がりを見せているファーウェイ排除は米政府の「10年越しの成果だ」と報じた。また、米に国家安全保障上の脅威とみなされているファーウエイの排除はこのタイミングで大きな意味を持つという。ファーウェイは、2020年の実用化が見込まれている5Gの覇権を狙っているからだ。
5Gが導入されれば、IoT技術が普及し、家電製品や車などさまざまなモノがインターネットに接続され、モノの相互通信・データ収集が従来より簡単に実現する。また、一部の専門家は5Gの場合、その仕組みから通信障害が容易に引き起こされると懸念している。
WSJの記事によると、現在使用されているセルラー・タワー(cellular tower、携帯電話基地局)設備は、ネットワークの音声やデータトラフィックの大半を転送する「コア・システム」から切り離されている。
5G技術では、コア・システムの役割は基地局のハードウエアが担うことになる。このハードウエアが破壊されると、ネットワーク全体の壊滅を意味する。ファーウェイの設備が採用されれば、同社は容易にハードウエアを停止したり、データを他の場所に転送したりできるからだ。
米政府は、5G技術でファーウェイが覇権を確立した場合、中国当局がファーウェイを利用して、他国へのスパイ行為、通信ネットワークの破壊、サイバー攻撃を強めていくと危惧する。特に有事の際、同社製品がもたらす影響を最も懸念している。
WSJの記事では、南シナ海で米中が開戦した場合、中国当局がファーウェイに対して、特定の空港、または他の戦略的場所で通信の中断と破壊を命じる可能性があると指摘した。または、ファーウェイが米兵士の個人用スマートフォンを追跡すると、米軍基地の運営状況などの情報収集も可能になるという。
・2007年からすでに警戒
米議会の一部の議員と情報機関は2007年から、ファーウェイの動きを注視してきたという。2012年10月、米議会は1年間に及ぶ調査の結果、ファーウェイとZTEが国家安全保障上のリスクとなっていると結論付け、継続して両社に対して監視するよう提言した。その懸念を払しょくしようとファーウェイの任正非総裁はラッパーズバーガー下院議員(民主党)を招き、同年香港で会談した。
同議員は帰国後、共和党と民主党に提出した報告書で、ファーウェイは依然、中国当局の支配下にあると結論を示した。「中国当局からアメリカの監視を命じられ、それに従わなかった場合、あなたは投獄されるのか」という質問に、任氏は返答に困っていたという。
この報告書はその後、米政府のファーウェイ問題に関する指針となった。
ファーウェイは近年、海外で拡張路線を取り、基地局用ハードウエアとその周辺設備の世界最大手メーカーまで上り詰めた。トランプ政権は今、ファーウェイを抑え込もうとしている。過去1年間、米議会の対中強硬派議員は国家安全当局、国防総省、商務省、連邦通信委員会など政府機関の支持を取り付け、米国からファーウェイを締め出した。米政府は現在、他の同盟国に対してファーウェイの排除を促している。
テッド・クルーズ上院議員(共和党)は6日ツイッターで、「ファーウェイは通信会社という仮面をかぶった共産党のスパイ機関だ。ファーウェイの監視システムは全世界を網羅している。その顧客はイラン、シリア、北朝鮮とキューバなどのごろつき政権だ」と非難した。
(翻訳編集・張哲)
ソース:https://www.epochtimes.jp/2018/12/38635.html