菅義偉官房長官は7日閣議後の会見で、ファーウェイ最高財務責任者が6日にカナダで逮捕されたことに関連して、情報安全の確保について「米国と緊密に連携し、各省庁が連携して必要な取り組みを行っている」と述べた。2社の名前には言及しなかった。
このたびの方針では公的機関の調達に限り、民間企業を対象としていない。日本国内では通信大手KDDI、ソフトバンク、ドコモなどが同社のWi-Fiルーターを取り扱っている。ファーウェイ・ジャパンは日本国内で電波基地局や中継局のインフラを担当している。
11月下旬、英国ロンドンで開かれたファーウェイ国際フォーラムで、同社は次世代通信規格5Gの基地局を1万台出荷したと発表した。専務兼通信事業者向け事業責任者の丁耘氏は、5G関連製品とサービスで22の商用契約を結び、50社以上と試験を実施していると述べた。具体的な取引先は語らなかった。
また、胡厚崑副会長兼輪番会長は、5Gネットワーク整備のために、各国政府に周波数リソースや公共空間を解放するよう求めた。「屋上や街頭などの公共インフラの共同利用で、通信事業者はコストと時間を削減できる」と語った。
同フォーラムに参加し自動運転試験を共同した英国の大手通信BTだが、12月5日、既存の3G、4G、および5Gネットワークの構築にあたりファーウェイ機器を主要部品に使用しないことを発表した。
米国と英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは相次ぎ、公的および民間部門で5Gネットワーク建設と基幹システムには、ファーウェイとZTEの機器の使用を規制あるいは禁止している。5カ国の情報部門は諜報機器の相互利用を許可するUKUSA協定(通称ファイブ・アイズ)を結んでいる。
最も厳しい措置を講じているのは米国だ。8月13日、中国技術企業5社への締め付け強化を盛り込んだ2019年度米国防権限法(NDAA2019)を可決した。
同法には、中国政府が管理あるいは強く関与しているファーウェイ、ZTEのほか、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ)、海能達通信(ハイテラ)5社の名前が名指しされている。2020年8月以降、米国あるいは外国企業問わず在米の全企業は、5社の製品を社内で使っていれば米政府機関といかなる取引もできなくなる。
ロイター通信10月12日は、複数の国の政府関係者の話として、ファイブ・アイズの5カ国に加え、日本とドイツの諜報当局は協働して中国共産党の対外浸透工作について調査することで意見を一致させていると報じた。
(編集・佐渡道世)