米クアルコムと連携して、主にハイエンドIoT端末に焦点を当てたビジネスを展開。IoTビジネスでもスマートフォンで培ってきたリファレンスモデル方式を応用していく。
エッジコンピューティングは、データ分析や判断処理を端末側で分散的に行うアーキテクチャー。映像分析やAIアルゴリズムといった負荷が大きい処理を分散させることで、クラウドへの一極集中を緩和。IoTのパフォーマンスを大幅に高める手法だ。
課題はエッジ側に使う端末開発の技術的なハードルが高まり、開発費がかさむことだ。サンダーソフトは、スマートフォンを効率的に開発するリファレンスモデルをIoTエッジ端末に応用することで、課題解決を目指す。
この10月には、IoTメーカー向け開発用SoM(システム・オン・モジュール)の「TurboX(ターボエックス)」シリーズの販売をスタート。クアルコムの最新のSoC(システム・オン・チップ)である「Snapdragon(スナップドラゴン)」シリーズを搭載した。
上位機種には、Wi-Fi通信や4K相当の高解像度のディスプレー出力、高精細カメラ、USB/PCIeの伝送用バスなどを実装。ハイエンドのスマートフォンと同等の機能で、顔認証や自然言語処理などのAIの処理も十分に可能だ。
スマートフォンの世界規模の量産効果で、SoMの価格は大幅に下がっており、その恩恵を受けるかたちで、「IoTエッジコンピューティングのモジュール開発やビジネスが急速に拡大している」(中国サンダーソフトの趙鴻飛会長兼CEO)とみる。
開発用SoMのTurboXを電子機器卸のマクニカなどを通じて、向こう1年間で国内100社のメーカーに販売する計画を立てる。「国内メーカーからソフト/ハードの開発受託や、AIアルゴリズムのカスタマイズといった案件も請け負っていくことでビジネスを伸ばす」(サンダーソフトジャパンの今井正徳社長)方針だ。
中国サンダーソフトと米クアルコムは、合弁会社のサンダーコムを通じてSoMを共同開発。「クアルコムのIoT戦略の一翼」(クアルコムジャパンの須永順子社長)を担っている。サンダーソフトの直近の売上高構成比は、スマートフォン関連が約5割、IoT/車載が4割、AI関連が1割。
スマートフォンの5G対応が本格化し、IoTや車載需要も同様に増えていることを受けて、売り上げが伸びても、この構成比は当面変わらないとしている。
(週刊BCN+ 安藤章司)
ソース:https://www.weeklybcn.com/journal/news/detail/20181124_165202.html