一部の都市では、住宅販売業者は販売促進のため、住宅販売価格を約3割値引きした。上海、アモイなどで、高値で住宅を購入した一部の市民が値下げに抗議した。
中国メディアによると、上海易居不動産研究院は10月26日、調査対象となる100都市において、新築住宅成約平均価格の前年比の伸び率は14ヵ月連続で低下したと発表した。また、同研究院の最新調査書によれば、100都市のうち、住宅価格が前月比で下落した都市は2ヵ月連続で増えた。9月には31都市で住宅価格の下落を観測した。
国家統計局は10月20日、9月の70大中都市商品住宅販売価格変動状況を公表した。これによると、9月の中国大都市住宅価格は前月比で下落し、中小都市の住宅価格の上昇幅も縮小した。
当局の不動産価格抑制措置の強化、米中貿易戦争による国内景気鈍化などが背景にあるとみられる。
いっぽう、需要低迷、在庫増加と資金難に頭を抱える不動産業者が、販売促進のため値下げに踏み切った。これに抗議して、中国各地で住宅所有者によるデモが相次いだ。
10月初めの大型連休中、不動産業者は、上海市にあるマンション分譲住宅「恵南碧桂園南郡プロジェクト」の販売価格を、1平方メートルあたり3万5,000元(約57万円)から2万6,000元(約42万円)に値下げした。この突然の値下げに、すでに同物件を購入した所有者は不満を噴出させ抗議活動を行った。
10月上旬、福建省アモイ市でも業者による値引き販売に対して、所有者らが抗議した。中国紙・北京日報(10月11日付)によると、同市で、450万元~500万元(約7,300万円~8,100万円)で販売された一戸建ての豪華別荘物件が、大型連休中に約半値の278万元(約4,500万円)で売られていた。
国内SNS上に、この物件を販売した不動産大手の万科企業は和解案として、住宅所有者100人に対して一人あたり100万元(約1,600万円)の補償金を提供するとの情報があった。しかし、北京日報によると、万科企業は否定した。
また、浙江省杭州市、貴州省貴陽市、江西省上饒市でも、抗議者が住宅販売価格の値下げで、業者に対して賠償金を求めた。
中国国内経済専門家の譚浩俊氏は、ネットメディアに評論記事を掲載し、今後住宅価格の下落に抗議する市民が各地で増加し、社会不安が一段と広がると警告した。
譚氏は、巨額な債務を抱える中国の不動産大手デベロッパーは、景気鈍化で資金調達がさらに難しく、倒産の危機に陥っていると指摘。
不動産大手・中原地産の張大偉チーフアナリストは中国メディアに対して、北京、上海、杭州など各大中都市の住宅在庫が増えているとし、「(住宅の)売れ残り時代に入った」と述べた。
(翻訳編集・張哲)
ソース:https://www.epochtimes.jp/2018/11/37503.html