ジュリアス・マダ・ビオ大統領は、前政権で計画された首都フリータウンでの新たな空港建設案の必要性が認められず、国民の多くは基本インフラや教育、福祉医療を必要としていると述べた。
中国は、連携国へのインフラ整備事業「一帯一路」構想に基づき、アジアやアフリカの途上国に高額な融資を負わせ、政治的影響力を拡大している。資金は中国政府系ファンドが融資し、労働者や建設事業は中国が請け負う。現地経済に寄与するものが少なく、現地権力者らの腐敗を生み出すとして「債務トラップ外交」と呼ばれている。
こうした一帯一路のインフラ計画は、キャンセルが相次いでおり、シエラレオネはその最新例となった。前政権アーネスト・バイ・コロマ大統領は、3月の政権交代前に、中国との融資契約を結んだ。
現地放送、シエラレオネ・テレグラフによると、空港建設の資金はすべて中国が融資し、中国企業が建設し、空港管理権限も中国側が担うことになっていた。
国際通貨基金(IMF)は、この空港プロジェクトの財政的な危うさに警告を発していた。西アフリカ地域は観光客の来訪を歓迎しているものの、すでにIMFは、シエラレオネ政府と2億ドル(約220億円)の融資契約を結び、首都フリータウンにある空港の拡張工事計画を約束していた。
IMFは、多くのアフリカ諸国が、中国による国の経済規模を超えた融資により、債務不履行(デフォルト)になる危険が高まると警鐘を鳴らしている。
5月にマレーシアの新首相に就任したマハティール・モハマド氏は、8月に220億ドル(約2兆5千億円)相当の中国支援のインフラ計画を中止させた。首相は、同計画はマレーシアには「必要ない」と述べ、「高額な債務を押しつけないように」と中国共産党政府をけん制した。
中東やアフリカと日本を結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝であるスリランカは、中国政府による巨額融資で、債務危機に瀕している。同国マヒンダ・ラジャパクサ政権は数十億ドルの融資と支援を受け入れたが、他国の投資を遠ざける結果となった。
スリランカ政府は、インド洋の重要戦略港湾ハンバントタ港の運営権を、中国に99年契約で明け渡した。さらに大規模な埋め立て工事を伴う新港湾コロンボ港も建設している。これについて独放送ドイチェ・ヴェレは、スリランカの港ほど「中国の巨大な野心を見せられたプロジェクトはないだろう」と指摘した。
同放送によると、大掛かりなコロンボ港建設には25年以上かかると予想され、完成予定は遅れる見通しだ。
(編集・佐渡道世)
ソース:https://www.epochtimes.jp/2018/10/36942.html