山裾の住宅地開発が進むフィリピン セブ州中部ナガ市で土砂崩れ
人口が爆発的に膨張しているフィリピンは、住宅地開発が進み、従来であったら人の住まない山裾や急斜面に家を建てている例が多くなった。
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9月16日前後にルソン島北部を通り過ぎた台風22号『オンポン』は死者、行方不明者150人以上を生じたが、中でもルソン島中部山岳地帯で起きた、金採掘現場での土砂崩れは採掘者宿舎を呑みこみ、50人以上の被害者を出した。
フィリピンでの台風死者数は2008年の台風フランクが1400人以上、2011年台風センドンが1400人以上、2012年台風パブロが1900人以上、2013年台風ヨランダでは7400人以上という未曾有の犠牲者を出した。
ヨランダ以降は台風に対して事前に避難するなどの防災意識が進み、徐々に台風による被害者数は減り、2017年台風ビンタでは300人以上に留まった。
台風オンポンの風雨の影響はあまりなかったセブで、20日午前5時20分頃、セブ州中部東海岸のナガ市で大きな土砂崩れがあり、24棟が呑み込まれ25人が死亡、73人が行方不明となっている。
現在、救助活動中であるが、現場は地盤が緩んでいて2次災害も予想され、生存者の発見は難しい状況となっている。
土砂崩れのあった現場は、海岸を走るセブの幹線道路から西海岸に抜ける道路近くで、一帯は山の斜面が広がる。
また、現場はセメント工場用の石灰石を露天掘りをしている事業地に至近で、この露天掘りが土砂崩れに何らかの影響があったのではと指摘されているが、同事業者側は因果関係を否定している。
しかしながら、事態を重く見た環境天然資源省はこの露天掘りをしている事業者に対して、採掘の許認可を停止するように監督官庁に指示を出した。
ナガ市はセブ市から車で約1時間少々の位置にあり、以前は小さな町であったが人口は15万人以上に膨れ上がっている。
戦前からセメント工場が立地され、日本の浅野セメントが関わっていた時代もあり、日本連合艦隊の高官がセブ島沖の海面に不時着水し、ゲリラに捕えられた『海軍乙号事件』の舞台がこのセメント工場近くであった。
なお、このセメント工場は一時日本の大手セメント会社が所有していたが、現在はメキシコに本社がある世界的なセメント会社が所有している。
ナガ市はこの他、『セブの発電所』といわれるように147メガワットの火力発電所があり、近年には韓国系の290メガワットの発電所を海沿いに建設している。
土砂崩れの現場を見ると、長く続いた雨などによって、強固な石灰岩の上に覆っていた表層の土が滑り落ちていて、これは地震によって表層土が滑り落ちた北海道厚真町の例と似ている。
今回の土砂崩れだが、こういった斜面に住むのは危険であると従来から指摘されているが、セブ市の後背地の山の斜面や谷間に家やコンドミニアムを建てる例は多く、いつ大きな土砂崩れ被害が起きても不思議ではない状態となっている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news03&config=&command=body&no=473
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