開催中の「アセアンに関する第27回世界経済フォーラム」の一環として、9月13日にハノイで「デジタル市場と国際的市場機会」の集会が行われ、その中でベトナム商工省のTran Tuan Anh大臣が「デジタル市場やeコマースの発展に向けたベトナムの包括的国家戦略が成功しています」と述べた。また、「私達は、全国民がeコマースやデジタル市場に参加できるよう開かれた環境を確保しています」とAnh大臣は加えた。
Anh大臣によると、ベトナムは発展に向けた戦略の中でインフラと労働者教育のバランスを取る必要があるという。
基盤設備が整い、情報通信インフラが国内約90%を網羅している一方で、インターネット使用者はベトナム人口のたったわずか55%ほどである。
国内全体におけるインターネット普及率達成後の次のステップは、中小企業の経営者らがオフラインからオンラインへ事業を移行する方法を学ぶことである。
会議では、アセアンのデジタル市場がeコマース成長の確立やサービス貿易の拡大、国境を越えたデータフローの容易化などを通じた包括的成長をどのように促進するかをテーマにパネルディスカッションが行われた。
パネルディスカッションには、アラブ首長国連邦のShipa Freight社のToby Edwards最高経営責任者、シンガポールのBain & CompanyのGerry A. Mattios専門部長、シンガポールのコカ・コーラ社アジア・パシフィックグループのBharathi Viswanathan最高情報責任者らが参加した。
参加者たちは、開放的なインターネット接続、教育、国際間の協力がアジアのデジタル市場を世界経済に押し上げるために必要だと同意した。
Bharathi Viswanathan最高情報責任者は、アセアン諸国のあちこちにある何千という「小規模カフェ」の多くが現地にある多数のフード・デリバリー・アプリから打撃を受けていることに気づいていると説明した。
彼らは今、より広い顧客基盤を入手できる一方で、デジタル・プラットフォームや不可解なアルゴリズムを操作しなければならないという難題に直面している。
事業主にプラットフォームの使い方やセット販売を用いた顧客の呼び込み方を指導することで、国際的飲料ブランドはアプリによる打撃を強みへと転換させている。
「私は共有できる機会を創っています。これは、私達、事業主、プラットフォーム全てに明るい未来を築きます」とViswanathan氏は述べた。
シンガーポールに拠点を置くオンライン・マーケットShoppyには、新世代デジタル起業家の教育支援を行うチームがある。同社は、Shoppy大学を創設し、潜在的売り手に商品の宣伝用写真撮影方法から在庫管理ツール活用法まで、あらゆることを指導している。
Shoppyの傘下企業Sea社のSantitarn Sathirathaiグループ主任エコノミストは、基礎からデジタル能力を築いていくことは誰にとっても有利な状況を創る、と述べた。「売り手に力を与えることです、彼らが世界のどこにいようとも」とSantitarn Sathirathai氏は述べた。
しかしながら、世界的なデジタル貿易における障害は今なお存在している。アラブ首長国連邦を拠点とする電子物流企業Shipa Freight社のToby Edwards最高経営責任者は、8ヵ国の中小企業800社を対象とした社内調査で94%が彼らの製品を海外へ出荷するのが難しいという結果を明らかにした。
この障害を最小化するために同社がオンライン上の国際貿易に必要な非常に多くの規定文書を作成している一方で、国境を越えた信頼や貿易過程の簡易化がデジタル経済の可能性を発揮するためには不可欠だとEdwards氏は述べる。
「売買は抵抗が最も少ない道を進みます」と彼は参加者たちに述べた。「国として事業を行うための過程を簡易化すればするほど、より多くの事業が生まれるでしょう」と加えた。
このような合理化実現のために、政府はデータ共有や協力関係の促進に対する不安を捨てなくてはいけない、と国際的なサプライチェーンの解決策を専門とする企業Bain & CompanyのGerry A. Mattios専門部長は述べた。
「弊社の調査結果から、データの問題は貿易の問題に相当するとは私たちは考えています。境界線や障害が低ければ低いほど、経済にとって有利なのです。データ無しでは越境貿易は不可能です。翼も無しに飛ぼうとするようなものです。それでは、うまくいかないでしょう」と彼は述べた。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3594.html