中東諸国が南アフリカに1兆円規模の投資を確約
南アフリカはサウジアラビア、UAEからそれぞれ100億ドル(約1.1兆円)の投資確約を受けたことを発表した。
南アフリカでは今年2月、9年ぶりとなる大統領の交代が起きている。
いかにして今回の大型投資の確約が実現したのか。
これには、南アフリカの政治、経済の両面が影響している。
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投資背景
南アフリカは昨年、2四半期連続のマイナス成長を記録し、2009年以来の景気後退に陥った。
9年間在籍したズマ元大統領の複数の汚職疑惑から来る政治不信により、外国企業の投資意欲低下が起因している。
いつ政権崩壊が起こる分からない状況であったため、他国や企業は南アフリカに対する投資判断が非常に困難な状況にあった。
この投資縮小が、南アフリカの景気後退の1つの要因となっていた。
そのズマ元大統領が汚職問題により2月に辞任。
後任には当時、副大統領であったラマポーザ氏が就任した。
就任後、早速「今後5年間で1,000億ドルの投資を誘致する」と発表した。
演説するラマポーザ大統領
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ラマポーザ氏はもともと、ANC(African National Congress、アフリカ民族会議)の闘士であった。
ネルソン・マンデラ元大統領と共にアパルトヘイト廃絶を求め、戦いを続けた。
時の白人政権との間で、数々の難儀な交渉を経て、平和裏にアパルトヘイト廃絶を実現。
その政治力、交渉力は折り紙つきだ。
ラムポーザ氏は、実業家としても成功を収めている。
自身が設立した投資会社シャンドゥカグループ会長を務めるとともに、多国籍企業を含め多くの企業の役員に就任。
ビジネス界で長らく活躍した。
この事実から、政府とビジネス界の相互理解に貢献可能、との期待が高い。
加えて、自国通貨であるランドの価値低下、連鎖的に発生する物価上昇。
ズマ元大統領に任期中に30%に迫った高い失業率など、南アフリカの抱える社会問題の解決にも注目が集まる。
彼は就任すると南アフリカ経済立て直しのために、今後5年間で1000億ドルの投資を呼び込む方針を打ち出した。
これらの動きに伴い、関係各国は南アフリカの経済好転に対して期待を寄せるようになった。
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ラマポーザ氏は大統領就任後、中東諸国を訪れて、各国に南アフリカへの投資を求めた。
すると早速サウジアラビアが、南アフリカのエネルギー分野における100億ドルの投資確約を発表。
ラムポーザ大統領のスポークスマンであるKhusela Diko氏は「今年10月に南アフリカで開催される投資サミットで、より詳細な内容の共有が期待される」と発言している。
ラマポーザ大統領とUAEのモハメド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン皇太子
サウジアラビアの発表後、ラムポーザ大統領はUAEを訪問。
UAEは近年、南アフリカとの貿易が拡大している。
2011年には40万ドルほどしかなかった2国間貿易だが、2017年には260万ドルにまで増大。
上記背景も後押ししてか、サウジアラビアに続き、UAEも南アフリカに対する100億ドルの投資を確約した。
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今後の動向
今回の2カ国による投資は大きいが、ラマポーザが打ち出した5年間で1000億ドルにはまだ到達しない。
そのため南アフリカは今後も投資を呼び込むべく、積極的外交を展開する意向だ。
また、7/25-27の日程で南アフリカにてBRICS首脳会議も行われる。
これらを通じて、外国投資の誘致を最優先課題として注力していくのは明白だ。
新大統領となったラマポーザの手腕にも注視しつつ、南アフリカ経済の立て直しに期待がかかる。
またアフリカ経済の中心国的存在である南アフリカの経済が上向くと、南アフリカに原材料輸出をしている、または南アフリカからの投資を期待するアフリカ周辺国の経済も活性化する。
アフリカ全体の経済状況トレンドを把握・予測する上で、ラムポーザ大統領による投資誘致動向に注視されたい。
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