アナリストは7月12日、機械化により仕事を失う労働者が「底辺への競争」における低賃金の仕事の減少にさらされるなか、東南アジアでの製造業におけるロボットの増加は、現在、労働環境悪化に油を注いでいるようだと話した。
衣類から自動車まで幅広い製造部門のハブである東南アジアで機械化の進展による急激な仕事の減少は、国際的なサプライチェーンで労働を脅かし、労働環境の悪化を引き起こす可能性があるとリスクコンサルタント会社のVerisk Maplecroft氏は述べた。
国連国際労働機関(ILO)の発表によると、カンボジア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンの半分以上にあたる少なくとも1億3,700万人の労働者が20年後には機械化により仕事を失うリスクがある。
製造現場でのロボットの増加により職を失った労働者は、低賃金の少ない仕事を奪い合うことになり、労働環境の悪化にさらされやすくなり、不適切なサプライチェーンのリスクは悪循環するとMaplecroftのAlexandra Channer氏は話した。
「適応できるスキルや生活保護の備えがない仕事を追われた労働者は、搾取的な労働環境のなか、減少する低賃金で高い技術を必要としない仕事を奪い合うことになる」とAlexandra Channer氏は述べた。
「機械と共に働けるよう将来の世代を教育する政府の具体的な方策がない限り、多くの労働者にとって底辺への競争となるだろう」とイギリスを拠点とするMaplecroftの人権関連を扱う代表がコメントした。
東南アジアの農業、林業、漁業、製造業、建設業、小売業、ホスピタリティ産業が主にロボットによって労働者の仕事が奪われる分野であり、ベトナムのリスクが高いとMaplecroftの年次報告書により明らかになった。
同社によると、カンボジアやベトナムなど女性が多い繊維・アパレル産業や履物産業の労働者は、東南アジアにおける機械化の最も高い脅威にさらされている。
報告された5ヵ国はすでに、労働環境が好ましくない可能性が高いとされており、労働環境は劣悪で、賃金は低く、労働者は高い技術を持っておらず、機械化はさらに状況を悪化させるだろうと同社は話した。
「機械化はすでに高い技術を必要としない仕事に危険を及ぼしているので、政府と企業は労働者への影響を究明することが可能だ」と労働者の権利を促進する組合、企業、慈善団体のEthical Trading Initiative のCindy Berman氏が語った。
「テクノロジーは時に混乱を招くが、よりよい仕事のチャンスを作る解決策の1つにもなり得る」とCindy Berman氏がThomson Reuters Foundationに話した。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3487.html