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シンガポールの賃金上昇率が生産向上率を上回る 競争力の低下を懸念

 
生産性と賃金との関係を議員から質問されたのに対し、コー・ポークーン閣外上級相(通産担当)は、2011年から17年にかけ、居住労働者(国民および永住の労働者)の実質賃金上昇率が年1.9%だったのに対し、生産性向上率は同1.1%だったと述べた。
 
コー氏は「実質賃金の上昇率が長期にわたり生産性改善率を上回ると、事業者は競争力を失う危険があり、業務の縮小、あるいは停止に追い込まれる可能性がある」と述べた。
 
賃金上昇率と生産性向上率の差は産業部門ごとに違いがある。建設やその他サービスなど内需型部門では実質賃金上昇率が生産性向上率を上回った。生産性の伸びが低かった、あるいは低下したことと、労働力のひっ迫で賃金が上昇したことが主因だ。
 
外需指向の部門では全体として生産性が上昇し、これが実質賃金の増加をけん引した。製造、卸売り、金融・保険がこうした例に当てはまる。
 
しかし運輸・倉庫、宿泊業などその他の部門では、実質賃金上昇率が生産性向上率を上回った。
 
政府は生産性の改善に力を入れており、各種助成措置を講じている。05年から12年にかけ能力開発助成を利用した企業の売上高は同期間、平均で9.3%増加した。中小企業向けデジタル化推進計画を10年から13年にかけ利用し業務の自動化を図った企業の売上高は同、3.1%増加したという。