アフリカのコワーキングスペース事情
アフリカではコワーキングスペースの数が増加している。
2013年時点では、アフリカ全土で24か所であったコワーキングスペースだが、現在は295か所も存在している。
これは明らかに、アフリカが経済発展において多くのスタートアップ企業が誕生していることを示す。
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コワーキングスペース数を国別で見ると、主にナイジェリア、エジプト、南アフリカの3カ国が特に多くなっている。
次いで、チュニジア、ケニア、モロッコが続く。
ではなぜ、アフリカの起業家たちはコワーキングスペースを利用するのか。
当然、他の先進国と同じく「オフィス代を節約したいから」とか「他の起業家と切磋琢磨出来る環境が欲しいから」などが挙げられる。
しかしそれだけでない。
アフリカでは、インフラ基盤が整っていない地域において「確実な電力の供給、通信環境を確保したい」というニーズが高い。
実際に、南アフリカ、ナイジェリア、ケニアにおけるコワーキングスペース事例を見ていこう。
rusbank.net※※※※※※※※※※※※
Cape town office / South Africa
https://www.capetownoffice.com/
Cape town officeは南アフリカのケープタウンにあるコワーキング施設だ。
Forbes誌が選ぶ「世界のコワーキングスペースベスト10」においても紹介された。
敷地は600平方メートルあり、中には90ほどの机と3つのミーティングルームがある。
この施設ではフリー利用で月に約23,000円のプラン、月50時間の利用で約9,000円のプランなどが用意されている。
また、通信環境が不安定なアフリカで働くために、このコワーキングスペースでは200Mbpsの通信速度が保障されている。
このような通信速度のサービスはアフリカの多くのコワーキングスペースで確保されている。
アフリカでコワーキングスペースの利用を検討される際は、通信環境を事前にチェックするのが望ましい。
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Hub30 / Nigeria
次にナイジェリアのラゴスに2018年2月に誕生したコワーキングスペースである「Hub30」について紹介する。
Hub30ではいつでもコワーキングスペースを利用でき、メールボックスも利用できるという月額プランや、1日だけ利用できるワンデイプランも用意されている。
月額プランでは日本円にして約4,500円、ワンデイプランだと約300円とかなり安価に利用できる。
オープンな共同作業スペースや、個人が仕事をするプライベートなスペースが確保されており、無料インターネット接続環境や充電環境、プリントサービスが用意されている。
誕生して間もないコワーキングスペースであり、アフリカのコワーキングスペースビジネス発展を示す良い例だ。
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iHub / Kenya
最後にケニアのナイロビにあるコワーキングスペース、iHubについて紹介する。
2010年というかなり早い時期にスタートした施設だ。
2017年に場所を移転させ、現在は以前の2倍(23,000平方フィート)のコワーキングスペースを運営している。
この新しい施設にはレストランや食料品店が入っていることも特徴的だ。
写真のようにコワーキングスペースの利用者向けにイベントが開かれていることも多くある。
iHubでは、コワーキングスペース以外にも、スタートアップへのコンサルティング事業や、AIF(アフリカイノベーションファンド)に協力する形での投資事業も展開している。
GoogleやMicrosoft、IBMなどをパートナー企業としているところからも、サービス実績、ひいては会社としての対外的信用度が高いと言える。
iHub創業者のErik Hersmanは、アフリカのテック業界を牽引してきた人物だ。
彼はiHubの他にも、”Ushahibi” というニュース共有のモバイルアプリ上サービスを展開。
また、防水・ソーラー発電といった際立つ特徴を持ったWiFiスポットを運営する会社「BRCK」の創設者でもある。
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今回紹介した3つのコワーキングスペースを見て頂いた通り、クオリティに関しては先進国のものと大きな差異は無い。
一方で、利用者の声として、問題に挙げられている点もある。
「共用スペースではイベントをしていることもあり、その時は使用できない」
これは日本のコワーキングスペースでもさほど変わらない問題であるだろう。
「街の中心部にある場所が多く、渋滞が大変」
こちらはアフリカならではだが、コワーキングスペース運営側の努力では如何ともし難い。
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コワーキングスペースの今後
2017年、新たに誕生したスタートアップの数は、前年の2016年より37%増加した。
そのため、スタートアップのためのコワーキングスペース需要は順調に高まっていくと思われる。
一方で、コワーキングスペース需要と並行して、オフィスに対する需要も急激に高まっている。
つまり、アフリカのスタートアップの規模が拡大してきており、より多くの従業員を抱える状況に育ってきている、ということ。
コワーキングスペースの運営に合わせて、個割オフィス運営も展開する企業が増えるだろう。
加えて、周辺産業である不動産業などの可能性も膨らんできている。
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このようにアフリカにあるコワーキングスペースは、世界にあるものと何ら変わらないクオリティを持っている。
そのため、アフリカで起業することがあれば、コワーキングスペースの利用は優先オプションとなる。
安心できる環境で働き、現地の起業家と交流することで、あなたのビジネスを前進させることが出来るはずだ。
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