特に今年に入って食品や日用品が異常な値上がりを続け、物によっては30%以上も値上がりしているために、庶民の生活が著しく圧迫されている。
これに対して政府はインフレ率は5~6%程度の政府予測内に収まっていると強弁するが、生活実態を知らない経済官僚の作り上げた数字と酷評されている。
このため経済状況に敏感な株式市況では続落が続き、6月25日のフィリピン証券取引所の終値が6986.88ポイントとなり、昨年1月以来17ケ月ぶりに7000の大台を割り込んだ。
また国内景気を見るに不可欠な失業率では、政府統計では9.2%となっているが、これは政府の都合の良い統計上の数字合わせであって、失業率は20%を超えているとの指摘もある。
実際、ドゥテルテが政権に就いた2016年から2017年にかけて、政府統計でも就業者人口は66万人余も減っている。
これは1997年のラモス政権末期に記録した82万人余が減った時以来の落ち込みで、ENDOと称す労働者に不利な『短期契約制度』の撤廃を目指し、労働者の関心を買う政策が必ずしも有効ではないことを示している。
特に高インフレが続くためにドゥテルテ支持層の貧困層は生活への打撃を受けていて、不満が鬱積し社会不安が起きると懸念した政府は6月27日、最低賃金で働く労働者410万人に対して、生活補助のために月額200ペソ(約420円)を支給することを検討しているが、焼け石に水以下との批判が集まっている。
このように経済政策が思うように進展しないドゥテルテ政権だが、国内の不満を逸らすために『タンバイ』を取り締まる政策を実行している。
タンバイとは元々は英語のスタンバイから来ていて、就職待ちや失業者のことを指し、劣悪な住環境から逃れるために街頭などで屯して談笑、あるいは酒を飲んだりする一団を指す。
これが目に余ると警察を使って取締り、全国で1万人以上が逮捕されているが、居場所のない貧困層の実態を知らないドゥテルテの富裕層向けのパフォーマンスと批判され、人権侵害との声も高い。
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ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=450