アディダス及びナイキは中国からインドネシアのような人件費の安い国へ製造拠点を移しつつ、労働者らへの給与の元手となる一足の靴の生産コストは1990年初頭以降低下しているとClean Clothes Campaign(CCC)は述べた。
「労働者の賃金に行きつくナイキとアディダスの靴の生産コストの比率は、1990年代初めと比べて、驚くなかれ30%も減少している(ナイキの場合、1995年に4%だったが、2017年は2.5%に減少)」とCCCは発表した。
「両ブランドは、シャツや靴の縫製労働者よりもサッカー選手にお金をかけるようになったようです」
さらにCCCは、今週始まるロシアのワールドカップに出場する32チームのうち、22チームのユニフォームを提供している2社の生産拠点が、賃金が低く、労働者の虐待が蔓延している、インドネシア、カンボジア、ベトナムへ移ったと述べた。
これら3か国では、繊維業労働者の平均給与が家庭の基本的なニーズをカバーするための賃金、いわゆる「最低限度の生活ができるだけの生活賃金」よりも45~65%低いと、労働組合、労働者、人権団体の国際的な団体が指摘している。
米国ブランドのナイキは、会社は残業手当および法的に義務付けられた給付を含め、少なくともその地域の最低賃金、または一般的とされる賃金を労働者に支払わなければならないと述べた。
「私たちは、長期的かつ体系的な変化を支援するために、政府、製造業者、NGO、ブランド企業、労働組合、工場労働者との対話を重視しています」とナイキの広報担当者は述べる。
ドイツブランドのアディダスは、サプライチェーン全体で安全な労働条件と公正な賃金を維持し、少なくとも法律で定められている最低賃金を支払うように義務付けると述べた。
「インドネシアのアディダス工場で働く労働者の月平均賃金は、現在の最低賃金をはるかに上回っています」とアディダスの広報担当者は述べた。
「過度の搾取」
アディダス及びナイキのスポーツウェアの多くはインドネシア製である。
CCCのレポートによると、インドネシアでは、繊維部門の労働者の80%が女性で、月に102米ドルも稼ぐことができない人がいる一方、法的に定められた最低賃金さえ得られない人もいる。
エシカルトレーディングイニシアチブ(ETI)のMartin Buttl氏によると、「貧困のサイクルにはまっ」て抜け出せないことのないように、週給で基本的なニーズを満たし、臨時手当で生活改善できるだけの報酬を労働者らに与えるべきという。
「ナイキやアディダスのようなブランドは、その責任を真剣に受け止め、製造者に公正な金額を支払う必要があります」とButtle氏はロイター紙に語った。「そうしなければ、低賃金や労働条件の悪化が起こるのです」
2011年、インドネシアでの労働組合の権利に関する合意に調印したナイキ及びアディダスは、雇用保障と賃金に取り組む誓約を再度確認するべきだ、とCCCは述べた。
「これは貧困レベルの賃金に関する、長期にわたる問題です。ブランド企業は価格圧縮をしており、それが労働者に大きな影響を与えています」と繊維労働者グループのアジア最低賃金同盟(AFWA)のAnannya Bhattacharjee氏は語った。
「サッカーは感銘を与えるスポーツですが、みなさんが覚えておかなければならないことは、選手のユニフォームを作るためにその舞台裏で働く労働者が、過度の搾取と苦痛を受けているということです」と同氏は付け加えた。
「私たちはそれを止めなければなりません」
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3436.html