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EUが米のイラン制裁再開に対抗、域内企業保護策を発表

  
ブロッキング規則はEUが1996年、米国の対キューバ制裁への対抗策として制定したものだが、実際に発動されたことはない。イランは核合意にとどまる条件として、EU側に米国による制裁再開後もイランへの投資を継続する旨を保証するよう求めており、EUとしては欧州企業が制裁を恐れてイランから撤退する事態を防ぐ必要がある。
  
ただ、欧州企業が米国の制裁を理由にイランとの取引を中止したと明言しない限り、規則違反に問われることはないため、対抗措置の実効性を疑問視する声が上がっている。すでに仏石油メジャーのトタルはイランの天然ガス開発プロジェクトを中止すると表明しており、追随する動きもみられる。
  
欧州委はこのほか、欧州投資銀行(EIB)がイランに進出している欧州企業に融資するのを認める手続きを開始。さらに加盟国に対し、イラン中央銀行への直接送金を検討するよう提案した。これは米国がイランと石油関連の取引を行う欧州企業に制裁を加えた場合でも、イラン側が収入を確保できるようにするための措置だ。
  
一方、欧州委のユンケル委員長は17日、米国がEUを鉄鋼・アルミニウムの輸入制限の対象から無条件で除外した場合、自動車や政府調達などの分野で新たな通商協議に応じる用意があると表明した。ブルガリアの首都ソフィアで開いたEUと西バルカン諸国の首脳会議終了後の記者会見で明らかにした。
  
トランプ政権は輸入品の増加で国内の鉄鋼・アルミ産業が弱体化すれば米国の安全保障が脅かされると主張し、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税を発動した。EUはカナダなどとともに輸入制限の適用を一時的に免れたが、除外の期限が5月末に迫っている。トランプ大統領は自動車分野などで米国が抱える多額の貿易赤字を問題視し、適用除外を認める見返りとしてEUに通商協議での譲歩を迫っている。EU側は米国が重視する自動車分野で協議に応じる姿勢を示して揺さぶりをかけ、適用除外を恒久的な措置とするよう求める見通しだ。
 
ソース:http://fbc.de/eur/eur5214/