また、地震の多い国で、1990年には山の避暑地で知られるルソン島バギオで、マグニチュード(M)7.8の地震が起き、死者1600人以上を記録し、市内のビルは根元から崩れるなど大被害を被った。
2013年にはセブ島に隣接するボホール島でM7.2の地震が起き、同島やセブ島、近隣の島で建物倒壊が相次ぎ、死者200人近くを生じた。
この地震ではセブのカトリックの聖地でもあり、観光名所でもあるサント・ニーニョ教会の古い鐘楼が上部から崩れる被害を出し、先年ようやく鐘楼の復元が終えた。
このように大規模地震がいつ襲うか分からない状態にもかかわらず、フィリピンは地震に対する対策というものはほとんどなかったのが実情であった。
マニラ首都圏近郊には南北全長100キロに及ぶ『ウェストバレー断層』と、首都圏近郊のリサール州を走る全長10キロの『イーストバレー断層』活断層が2つがあり【※図の赤い線が活断層】、フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は、この活動によって将来大地震が発生すると以前より警告を出している。
特にマニラ首都圏に野放図に建ち並ぶ中層、高層のビルやコンドミニアムは耐震対策など満足ではなく、大地震には倒壊の恐れが強いといわれている。
この問題はマニラ首都圏に限らず、セブなど都市圏でバブル的に建てられているビル及びコンドミニアムも同様に地震に対して脆弱と指摘されている。
また、マニラ湾を埋め立てて開発した地域に建つ建物、施設は大地震の際には液状化現象が発生し、壊滅的な被害を受けると予想されている。
このため、政府も腰を上げざるを得なくなり、大統領令によって『首都圏防災対策委員会』の設置が決まった。同委員会は『M7.2以上の大地震を想定した防災戦略を主導する』としているが、その中身と具体性は全くなく、どこまで本気で取り組むのか早くも疑問視されている。
備えあれば憂いなしというが、備えのあった日本でも2011年の『東日本大震災』では津波によって、福島原発爆発を含む未曽有の大被害を受けていて、地震対策がようやく始まったフィリピンの行く末を案じる声も多い。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news03&config=&command=body&no=462