携帯電話やタブレットコンピューターの充電施設で、これまで廃棄されてきた食品ごみを燃料にした発電システムが内部で動作している。
システム開発を主導したのは、化学・生体分子工学部のトン・エンワー准教授と環境研究所のザン・ジンシン特別研究員で、上海交通大学との共同事業。
発電設備は、投入された食品ごみに嫌気性微生物群を加え嫌気発酵させるもので、発酵の過程で生じるバイオガスを熱源に発電する。
発酵過程を経た食品は栄養が豊富で、液体肥料としての利用が可能。発酵処理のため不快な匂いを出さない。
現在は1日40キロの食品ごみを処理しているが、システムの規模を大きくすることで、同200キロのごみを処理できるという。
発酵熱で温水を作り、発酵タンクを適温の50度に保つ。生産される電力で、ごみ投入ポンプ、照明、ファンなど付属設備を動かし、余剰分を蓄電し携帯機器の充電に利用するという、必要な電力を自前で賄うシステムだ。
炭水化物、タンパク質、脂肪の含有量の多い食品ごみが、ガス産出量が多い。1トンのごみから200~400キロワット時の電力を生産でき、1万3,000~2万6,000台の端末の充電需要を賄えるという。
トン氏は、公営住宅団地でも運用できないかを探る。昨年のシンガポール全体の食品ごみは約81万トン。