また豊田通商グループの半導体商社であるネクスティエレクトロニクスの青木厚社長も、アジアの国々には熟練されたエンジニアが豊富に存在するが、その中でもタイは突出していると述べている。
さらに青木氏はタイでの事業について、過去15年間にわたって日本と協力しながら成長してきたことについて触れ、特に電気自動車やハイブリッド車において、両国が協力のもと組込みソフトウェアの活用に取り組んできたと話す。
NETHのCTOである井倉将実氏も、同社は将来の優秀なエンジニアを育成することで、”タイを同開発の拠点へと変える”ことを目指していると述べている。驚くべきことにNETHのエンジニアの多くが日本語を使って業務遂行が可能であるという。これを可能にしているのは、ゼロレベルからでも日本語を使って業務ができるレベルにまで引き上げられる社内の日本語教育のノウハウにある。さらに、タイのトップレベル校と連携することにより優秀なエンジニアの卵を確実に採用し、社内で育成する仕組みを持っていることが大きな強みとなっているという。
<DIGIMA NEWS編集部の視点>
車載ソフトウェアの開発拠点として日本企業がタイに注目するのには、マーケットの規模など様々な要因が関連しているようだ。10億人を超える人口を抱えるインドや中国のような巨大マーケットと異なり、優秀なエンジニアの獲得が比較的容易な上、親日国ということで現地人との人種間の摩擦が少なく、スムーズな組織運営が行えるという。
また同国の大学の教育水準が高まっていることもあり、採用後の即戦力となる若い働き手が増えているといった背景も追い風となっているようだ。このような要因は日本企業にとっても同国への進出や事業拡大をする上で大きなチャンスであると言えるだろう。