アメリカが華為技術(ファーウェイ)を締め出し 「安全保障の脅威」と説明
米メディアによると、世界IT大手の中国メーカー・ファーウェイ(華為、HUAWEI)は、米国市場からの規模の縮小もしくは撤退を検討しているという。
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米当局からは、同メーカーは米国の安全保障に危険を及ぼすとして市場排斥の声が高まっている。この圧力は縮小・撤退説の一要因とみられている。
ファーウェイは4月中旬、拠点とする中国深センでグローバル市場の戦略について専門家会議を開いた。米誌フォーブスによると、市場担当CEOの徐直軍氏は「簡単に途中で路線変更はできない。しかし(米市場展開を)もう頭に入れないほうがいいかもしれない」と弱音を吐いたという。
・危険性指摘 米政府はファーウェイの追い出しへ圧力
米国の安全保障に危機感を示す米連邦通信委員会が3月、ファーウェイとZTE(中興通訊)製品について使用禁止を呼び掛けている。
同委員長アジット・パイ(Ajit Pai)氏は「何年もの間、米国政府は外国勢の通信機器メーカーによる安全保障の脅威に、懸念を示してきた」「ルーター、スイッチなどのほか、機器に『バックドア(注釈:裏口の意、利用者に気づかれずに機器を遠隔操作する接続経路)』悪意のあるウィルスやマルウエアが仕込まれている。米国の個人情報を盗み、米国企業のスパイとなり、脅している」と指摘した。
2月、米連邦議会議員18人は、パイ委員長あてに米国で消費者製品向けのファーウェイ社製品の安全性の調査を要請していた。同月、米共和党のトム・コットン上院議員とマルコ・ルビオ上院議員が「ファーウェイとZTEは中国政府の武器である」と主張し、米国政府は同通信機器の購入または賃借の停止を求める法案を出した。
おすすめ:米上院議員、政府の華為・ZTE通信機器使用を禁じる法案提出
1月、FBIやCIA、NSAなど6つの米秘密情報局は、ファーウェイ製品やサービスの使用を控えるよう警告した。同時期、米ネットメディア・ヴァージは、トランプ政権側のリークされた資料を報道。米当局は、スパイウエアとなっている中国機器の脅威を避けるために、部分的に国有の5Gネットワークを構築すると提案したという。
ファーウェイは、中国人民解放軍の元技術者が創設した企業。中国での創設時、当初の取引先はもっぱら軍資本の企業で、軍と複数の長期協力プロジェクトを抱えている。米CIAの調査によると、ファーウェイは中国政府から数百億ドルの助成金を受けている。
2003年には、米IT大手シスコが機密情報を盗用されたとして訴えた。このため、ファーウェイの名は米国民に知られた。
・米当局への圧力に対抗か ファーウェイ通信販売強化打ち出す
ファーウェイの米国公式サイトによると、テキサス州プラノに本社を置き、シリコンバレー、ブリッジウォーター、ニュージャージー、シカゴ、サンディエゴなど13の地域に支店を置き、約1200人の従業員を抱える。
フォーブス誌によると、ファーウェイは、少なくとも200種ほどの仕事を米国で生み出した。米国の携帯電話市場で、エリクソン、ノキア、シスコなどに並び、電波の乏しい地域や中小企業をサポートする通信事業を展開し、数千人の顧客を抱えている。
米ウォールストリートジャーナルによると、スマートフォン、タブレット、ノート型、その他携帯機器を一般販売するファーウェイ販売担当部門は、2018年3月、新型フラグシップモデル「P20」の発表以降、米国部門を閉鎖すると報道した。
また、米当局からの警告を受けて、ファーウェイは米通信キャリア大手AT&TとVerizonとの契約を終了した。インターネット小売販売の大手Best Buyからも撤退した。
米当局の圧力により、ファーウェイは、最近まで米国での営業、販売、マーケティング、広告を急速に縮小するとみられていた。
3月、フランスのパリで「P20」を発表したファーウェイ消費者担当の余承東氏は、「米国市場がなくても、私たちは世界で1位になるだろう」と豪語した。同月30日、米メディア・CNETのメールインタビューに答えた余氏は「信頼を得てきた米国での市場を簡単にはあきらめない」とも述べている。
4月18日、情報研究機関アサルトン・リサーチの取材に対して、ファーウェイは向こう数週間で、最新のアンドロイドタブレット、Matebook X Proを発表し、世界最大手ネット販売のアマゾン、米小売ウォールマートなど強力なチャネルを迎え、米市場に継続して展開していくと述べた。
専門家会議では弱気な撤退発言があったにもかかわらず、強気な販売姿勢もみせるファーウェイ。米アサルトン・リサーチ副所長ジーン・バプティスト・スー氏は、ファーウェイの態度がどちらに転じても、「米当局は年内にファーウェイとZTEの通信機器が米国市場から撤退することを期待している」とし、米当局からの圧力が継続するとの見方を示した。
米政府は4月16日、中国国有通信機器大手の中興通訊(ZTE)は、対イラン制裁に違反して通信関連設備を輸出しているとして、米企業とZTEの取引を7年間禁じた。
(編集・佐渡道世)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2018/04/32773.html
【DIGIMA NEWS編集部の視点】
IT専門の調査会社IDCの統計によると、2017年で世界で最も売れたスマートフォンメーカーは、1位がSamsungで世界シェア21.8%を占めている。ファーウェイ(10.5%)は、2位のApple(14.7%)に次いで3位である。シェア上位5社のうち日本メーカーは入っておらず、3社は中国メーカーである。
また、ファーウェイは、「中国シェアNo.1」(ITmedia)という確固とした基盤がある。
ZTE製品の対米輸出禁止や今回の一件で、アメリカが自国の経済保護政策と安全保障が密接にかつ複雑に入り混じっていることがわかる。
そのような措置に対しても、ファーウェイは「世界1位のシェアをとることができる」と自負している。これは好機なのか不遇なのか。いずれにせよ、世界の外資系企業がこのニュースを注視しているだろう。日系企業はこのような激化する国際競争において、何らかの手を打って「機先を制する」必要があるだろう。
※世界シェアの算出法=(2017年1Q~4Qのシェア率)÷4
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