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世界5位の繊維輸出国となったベトナム 今後は「質の高い労働力の育成」が焦点

 
同セミナーにて、 ホーチミン市縫製・繊維・刺繍・織物協会のPham Xuan Hong会長は、繊維・アパレル産業では熟練した「質の高い」労働力の育成が常に大きな焦点であったと述べた。
 
多くの国際貿易協定に参加し、他国との競争が激化しているベトナムにとって、この問題はますます重要なものとなってきている。
 
国際労働機関と国際金融公社が2017年に発表した「Better Work report 」によると、ベトナムは世界で5番目、アメリカにとって2番目に大きな繊維輸出国である。
 
昨年の輸出額は34億米ドル規模であり、今年は35億米ドル規模に到達することが予測されている。
 
ベトナム繊維産業の専門家Pham Xuan Thu氏によると、ベトナム繊維・アパレル産業では輸出規模自体は大きいものの、付加価値の成長ペースは著しく遅いと言う。 競争力を上げ、付加価値を高めるためには、労働力の質を向上させなければならないと同氏は述べた。
 
また報告書によると、同産業はベトナム最大の公式雇用部門であり、250万人以上の雇用を創出していると言う。約80%が30歳以下とその多くは若年層で、体力もあり非常に熱心であるとThu氏は言う。また技術的スキルを持った労働者の割合は21.1% と、他の製造・加工業の平均よりも高い水準となっている。
 
しかしながら、産業セクターの平均よりも低い生産性などといった課題にも直面している。産業セクター全体では年間1億430万ベトナムドン(4590米ドル)の生産性が、繊維産業に絞ると5600万ベトナムドン(2460米ドル)に下落する。
 
「繊維業でも大企業の生産性は平均よりも高い水準ですが、ベトナムには非常に多くの中小企業があります。」
 
離職率の高さも問題の一つである。Nha Be縫製やPhong Phu社といった大企業では15-20%ほどであるが、中小企業や外資企業ではさらに高く、それぞれ20-30%、30-40%にのぼる。
 
原因の一つとして、企業側が労働者の要求を満たせていないことがあげられる。繊維労働者の賃金は月額430万ベトナムドン程と、基本的ニーズの75-80%しかカバーできていない。
 
「賃金の引き上げは行われてきましたが、期限通りに労働者に支払っていない企業もまだあり、それがストライキや離職につながっています。」
  
訓練や経験を積んだ後に、より良い条件を求めて転職する労働者が多い事も原因の一つとしてあげられるという。さらに、同産業の主要労働力は若い女性の出稼ぎ労働者であり、一定の期間がたてば地元に戻り、結婚する可能性が高い。
  
労働力を維持するためには、企業が労働者のニーズを理解した上でそれを満たすとともに、HRマネジメントにもっと投資を行わなければならないとThu氏は述べた。
  
繊維・アパレル企業の管理職やチームリーダーの多くのバックグラウンドがHRではなくエンジニアリングであると言う。それが故、企業が人材マネジメントの訓練を施さなければならない。
  
また企業側は、真剣に取り組む労働者に対してより高度な訓練を提供すべきだとも同氏は述べた。
  
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3350.html