2018年4月17日

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高いGDP成長率を誇るフィリピン 失業率は悪化で国内産業の空洞化が懸念

高いGDP成長率を誇るフィリピン   失業率は悪化で国内産業の空洞化が懸念

フィリピンに本部を置くアジア開発銀行(ADB)によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)全体の経済成長率は2018年、2019年共に5.2%と見込まれる中、フィリピンは2018年6.8%、2019年が6.9%と高い成長率を維持すると発表した。

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これに対して、世界銀行は2018年、2019年共に成長率はADBよりやや低い6.7%とし、2020年には減速し6.6%としている。 
 
ADBは現政権の積極的なインフラ投資が成長を押し上げ続くと見ているが、政府による公共投資が行き過ぎると、その反動が強くこの点を世界銀行は冷徹に分析をしている。
 
こういった中、民間投資機関によると2018年第1四半期(1月~3月)は成長率が7%を超えると発表。
 
これは2017年度の雇用創出数が200万人を超え、外国直接投資額が100億ドルを超えたことと、インフラ投資が2017年12月期に23%も伸びたことや、製造業生産指数も20%以上拡大したことを好材料として分析している。
 
しかしながら、国内インフレ率が2018年第1四半期には4%に近づき、このインフレの高止まりが国民生活を圧迫していると指摘。
 
また、懸念材料としてはアメリカとの貿易摩擦と同国の利上げが挙げられ、利上げに関しては成長を続けるアジア諸国へのアメリカからの資本流入の減少が予測され、その影響は大きいと見ている。
 
好調と見られるフィリピン経済だが、これを支えているのはGDPの10%以上を占める海外就労及び在住者からの送金や、不動産バブルを招いている中国からのコンドミニアム投資など危うい面も多い。
 
特に雇用の面では数字でいうほど改善は進まず、2017年の失業率は5.7%となり、前年の5.5%より悪化した。
 
このフィリピンの失業率だが、実際は20%以上は定職を持たないといわれていて、政府に都合の良い数字で発表されているとの批判が強い。
 
特に若年層の失業率は政府目標は11%であったが、2017年は14.4%となり目標を大きく超えていて、実際はもっと悪く、その倍くらいは悪いとの指摘もある。
 
また、政府目標では毎年100万人前後の雇用を創出できるとしているが、2017年では実質65万人が職を失っていて政府の雇用創出計画は大きく後退している。

このため、海外に職を求める人が後を絶たず、国内各分野の空洞化という問題も生じている。
  
これは例えば看護師など専門職が高給を求めて海外に流出し、国内病院の看護師が不足するという事態を引き起こしていて、これに限らず足元から雇用形態が崩壊しているとの指摘がされているが、政府は地道な産業育成を怠り、不動産開発の様なバブルに近い産業に力を入れているのが実態となっている。
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=353

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