米国の関税追加措置に対する、中国当局最強の「切り札」とは?
中国当局は4日、米の追加関税措置に対抗して、米国産大豆や小麦、牛肉、自動車など106品目に25%の追加関税を課すると発表した。総額は米と同規模の約500億ドル(約5兆3000億円)。
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米政府は3日、知的財産権の侵害を理由に追加関税を課す中国製品のリストを公表した。電子機器や航空機部品、衛星、医薬品、機械などハイテク分野を中心とする約1300品目に一律25%の関税を課す。
一部の専門家は、中国当局が最強の「切り札」である大豆を切ったのは得策ではないとの見方を示している。
ロイター通信(4日付)によると、飼料産業関係者は、中国畜産業の米国産大豆への需要が非常に高いため、報復措置の影響で、最終的に中国豚肉をはじめとする物価全体の上昇を招くと指摘した。
中国の畜産業は現在、世界大豆市場取引量の60%を消費している。
英投資会社キャピタル・エコノミクスのマーク・ウィリアムス・チーフエコノミストは、「米国を除く世界には、中国の需要を満たすのに十分な大豆はない」と中国での需給のバランスが崩れる可能性を指摘した。
昨年、中国の大豆輸入量のうち、ブラジル産が約53%を占めている。米国産は約34%の3300万トンだった。ただ、米国産大豆は10月〜翌年2月までの中国市場の需要をまかなっている。この時期、南米の農作物はまだ成長期にあるため、「輸入を全部ブラジルに切り替えるのは不可能だ」と飼料を販売する天津天驕集団の孫超総裁は述べた。
中国は、ブラジル、米国、アルゼンチンのほかの国からも輸入しているが、その総量は1700万トンにとどまる。
一方、中国の大豆生産量は約1400万トンで、主に「遺伝子組み換えでない」食用だ。中国当局は外貨獲得のために、国産大豆を日本と韓国向けに輸出している。
中国飼料生産企業は、大豆の代替品を探している。しかし、トウモロコシなどはタンパク質含有量が低いため、大豆の代替品になるのは難しい。
ロイターによると、中国企業は大豆供給のひっ迫で、主要食材の豚肉価格が上昇し、結果的に物価全体を押し上げると懸念している。豚肉の生産コストの55%が飼料だという。
豚肉は、中国の消費者物価指数(CPI)の3%程度に寄与している。中国の2月CPI指数は前年比2.9%上昇した。1月は同1.5%上昇。2013年11月以来の高水準。食品価格の値上がりが2月CPIの上昇の主因だとされる。
米国産大豆などの農産物に対する制裁措置は、中国国民の生活に悪影響を与え、インフレ率の上昇につながる恐れがある。
(翻訳編集・張哲)
ソース:http://www.epochtimes.jp/2018/04/32299.html
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