中国全国人民代表大会が開幕 次世代AIの研究開発や実用化などに注力
中国の国会にあたる全国人民代表大会が3月5日、北京市の人民大会堂で開幕した。開幕式で李克強首相は、2018年の政府活動案を説明した。引き続き国内総生産(GDP)で6.5%前後の成長を目指すとし、成長の原動力として次世代人工知能(AI)の研究開発や実用化などに注力すると強調。国民と企業に利益をもたらす「デジタル中国」の建設を目指すことをあらためて宣言した。
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世界の潮流をリード
李首相は、まず過去5年間の活動の成果を振り返った。GDPが年率7.1%伸び、世界経済に占める割合が11.4%から15%前後に高まったことなどを挙げ、「経済構造は大きな変革をみせた」と胸を張った。IT関係で成長に大きく貢献したのは、先進的な取り組みが世界的に注目されているEコマースやモバイル決済、シェアリングエコノミーの領域だ。
李首相は、これらの領域が「世界の潮流をリードした」と高く評価し、「生産方式やライフスタイルを大きく変え、中国の革新発展の新たな象徴になってきている」とした。
李首相の演説は約2時間におよび、習近平国家主席が拍手を送る場面もあった。人民大会堂には、国内外から大勢のメディアが集まり、世界が中国の動向に高い関心をもっていることがうかがえた。
ITを新たな原動力に
李首相は、18年のGDP目標成長率を、前年と同じ6.5%前後に据え置き、「わが国の経済がすでに高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へと切り替わっている実情に即している」と理由を説明した。とはいえ、「新たな原動力を大きく発展させる」との方針は維持するとし、「次世代AIの研究開発や実用化への取り組みを強化し、医療や養老、教育、文化、スポーツなど、多くの分野で『インターネット+』を推進する」と力説。AIとインターネットを軸に、在来産業を大きく改良・高度化させると訴えた。
中国政府が18年に実施するのは、インターネット環境の改善だ。李首相は、通信速度の引き上げと料金の引き下げにさらに力を入れ、高速ブロードバンドを農村部も含めて国内に全面普及させると紹介。年内にパケット料金を少なくとも30%引き下げることにも言及した。インターネット環境が改善されれば、国民にとっては便利なサービスがより多く利用できるようになるメリットがある。一方で、当局による監視や統制が強化される可能性があり、今後の推移に注目する必要がある。
5Gの発展も重要視
AIやインターネットと並んで、李首相は、第5世代移動通信システム(5G)の発展も重要視する姿勢を示した。中国では現在、通信事業者が5Gの実用化に向けて集中的な投資をしており、国として後押しを強めるとみられる。
李首相は、製造業を5G活用の舞台として選んだ。18年は、5Gを集積回路や新エネルギー自動車などの産業とともに強化し、産業IoTのプラットフォームの実現を加速させる考えだ。中国は、製造業の高度化を目指す「中国製造2025」を掲げており、18年には「モデル区を創出する」(李首相)予定だ。世界の潮流となっている産業IoTで、中国が5Gを軸に覇権を獲得すれば、世界に与える影響力はより一層、大きくなるだろう。
(週刊BCN+ 齋藤秀平)
ソース:https://www.weeklybcn.com/journal/news/detail/20180322_161469.html
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