今回の判決は、環境保護団体ドイチェ・ウンベルトヒルフェ(DUH)が州政府や自治体を相手取り、大気汚染対策の不備を国内各地の行政裁判所に訴えたことがはじまり。これを受け、デュッセルドルフとシュツットガルトの行政裁判所が大気汚染対策として走行禁止を認める判決を下したため、ノルトライン・ヴェストファーレン州とバーデン・ビュルテンブルク州の州政府が、同判決の見直しを求めて上告していた。
欧州連合(EU)では2010年1月1日から、大気中におけるNOxの上限値を年間平均で1立方メートルあたり40マイクログラムと設定している。ドイツではハンブルク、デュッセルドルフ、シュツットガルトなどで上限値を超えており、2017年は、約400カ所ある測定地点のうち約50カ所で40マイクログラムの上限値を超えたとされている。
■ バランスに配慮した措置を要請
連邦行政裁判所は、大気におけるNOxを迅速に上限値以下に抑える必要がある一方で、ディーゼル車の保有者に与える影響を配慮する必要もあるとしている。
シュツットガルトの環境ゾーンについては、段階的に当該措置を導入すべきであるとし、まずは2005年までに導入された欧州連合(EU)の排ガス規制(「ユーロ4」)までの車両を通行禁止とし、「ユーロ5」に対応した車両は2019年9月以降(「ユーロ6」の導入から4年後)に通行禁止の対象とすべきとしている。
今回の判決を受けて、各自治体は走行規制を検討することになるが、ディーゼル車の通行制限が実施されれば、市民や経済への影響が懸念されるため、各自治体の動向に注目が集まっている。ハンブルク市はすでに、迂回路を示す共に2カ所の道路で通行制限を実施する方針を発表した。一方、シュツットガルトのフリッツ・クーン市長は、「自治体にとって、シュツットガルトにとっても、実行は容易ではない」と述べ、走行制限の導入に慎重な姿勢を示している。