フィリピン労働雇用省 現地日系企業に対して5,000人近くの「正規雇用命令」
フィリピン国内の労働者を使う側に都合良く作られているENDO(end-of-contract)問題に絡んで、労働雇用省は日系の矢崎トレス工業(本社ルソン島ラグナ州)【写真】に対して、4970人の非正規雇用者を正規雇用するように命じた。
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同社は自動車部品製造大手の矢崎総業が親会社で、矢崎総業グループの総売り上げは年間1兆7千億円以上。
同社グループの国内法人数は65社、海外法人数は100社と生産拠点を海外に分散し、国内従業員は約2万人に対して海外従業員は約26万5千人以上に上がり、これにフィリピンで問題になっているENDO 従業員は勿論含まれていない。
矢崎トレス工業は1973年にフィリピンに進出し、フィリピンには同社を含めグループ7社が操業をしている。
ENDOとは6ヶ月以上雇用した場合7ヶ月目から正規雇用にしなければならない法律の穴を潜った、フィリピンの悪しき労働形態で、6ヶ月未満で解雇を繰り返し、正規雇用と同じ常傭状態にして安価な労働力を確保していた。
このENDOに関してドゥテルテ政権は一掃を目指し、2017年1月末には下院でENDOを是正する法案が承認された。
今回指摘された矢崎トレス工業以外にも同地区の多くの日系企業も雇用形態を改めるよう指摘されていて、その数は同地域で3万人以上になると批判を受けている。
同地域にはホンダ・パーツ、アイチ・フォージング、サガラ・メトロ・プラスチックなど日本の大手製造会社傘下のフィリピン法人が多く進出し、その関連下請け日系企業も多く、今回の労働雇用省の矢崎トレス工業に対する是正命令には戸惑いを隠せない。
矢崎トレス工業は2017年9月に労働雇用省から命令を受けたことを公に認めているが『再考を労働雇用省に申し立ている』と詳しい説明を避けている。
こういった動きに対してコロコロと発言の変わることで定評のあるドゥテルテ大統領は、2月26日、『ENDO是正は企業活動に障害の出る恐れがあり、強引な干渉を避け妥協点を探るべき』と従来の立場を変える発言を行った。
このため、労働雇用省がENDO問題で日系企業を狙い撃ちにすることはこれでなくなったと胸を降ろす経営陣の声が聞こえ、これに対して労働組合側が反発する事態も発生した。
このドゥテルテ発言だが、ENDOの恩恵を受けている企業連合、あるいは個別企業のロビィ活動が効いたのではないかとの指摘もあるが、その流れは明らかになっていない。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&command=body&no=349&
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