その裁判の判決が2月14日、言い渡され、法廷は「同居は就業条件の1つであり、同居によって家政婦に対する虐待のリスクが高まるとは言えない」として原告の主張を退けた。
2月15日付香港各紙によると裁判官は、1970年代から外国人家政婦は増加の一途をたどり、2017年3月までに28万7000世帯が35万7000人の家政婦を雇用したとの統計を示して、家庭内の高齢者や子供の面倒をみることも家政婦の需要の1つであると指摘。外国人家政婦が雇用主と同居することは香港での就労の必須条件だと述べた。
また、同居が嫌ならば母国に留まる、あるいは香港以外の場所を選べばよいし、来港後に同居が受け入れられない場合は雇用契約を解約するという選択もあると話した。
<DIGIMA NEWS編集部の視点>
日本と異なり、香港では普通の家庭においても、家政婦を雇うことは一般的となっている。その家政婦の多くが、フィリピンやインドネシアからの出稼ぎ労働者だ。多くの一般家庭が家政婦を雇うのは、専業主婦として家事に専念するよりも、フルタイムで働きに出た方が、家計にとってプラスとなる収入を得ることができるという、経済的な合理性によるところが大きい。
そもそも人口が少なく国土も狭い香港では、女性の労働力は貴重なリソースとしてとらえられている。香港政府としても、女性を育児と家事の負担から開放するため、積極的に海外からの労働者を誘致する政策を施行してきた。そして、フィリピンやインドネシアといった国と協定を結び、それらの国から香港に家政婦として出稼ぎにくる女性たちへ特別なビザも発行している。
香港では、それらの外国人労働者である出稼ぎの家政婦達を斡旋する、家事代行のエージェントが多数存在しており、日本人駐在員をターゲットとした現地の家事代行エージェントの需要もある。
ソース:https://www.hkpost.com.hk/20180221_7347/