フィリピン国民の足「ジプニー」の近代化計画 ディーゼルからEV化も視野に
ジプニーというのは戦後に駐留していたアメリカ軍が置いて行ったジープの車体を利用して改造した車で、その独特なデザインと利便性からフィリピン人の足として重宝されているが、そのジプニーが交通渋滞と大気汚染の元凶として槍玉に上がっている。
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現政権は旧態のジプニーを新車に替える『近代化計画』を構想し、2018年1月から実施を始めるとしていた。
しかし、ジプニーの運転者で作る労働組合がマニラ首都圏を中心に2日間のストライキを打って、学校は休校、政府機関も休業状態となった。
それほど、通勤通学の足として重要なジプニーだが、政府は近代化計画を推し進め、エアコンや車体側面のドア、更に大気汚染の元凶であるディーゼルエンジンではなく、駆動は電動モーターにするとしている。
このため、現在も生産されているジプニーの新車が50万ペソ(120万円)程度なのに対して、政府構想のジプニーは120~160万ペソ(280~380万円)もかかり、零細なジプニー運行者にとっては話にならない額となっていた。
しかも、ローンを組んで購入した場合、最終的には210万ペソ(500万円)を超える可能性があり、この計画はフィリピンの経済範囲を超えているとの酷評を受けている。
政府側もジプニー近代化政策には融資を行うとしているが、その融資額はスズメの涙に等しい8万ペソ(19万円)であり、計画を策定しただけの机上の空論、実現性は全くないと酷評されている。
特に電動モーター使用に関して、現在アジア開発銀行の融資によってトライシクルの電動化プロジェクトが行われているが、こちらは注ぎ込んでいる巨額な金に反比例するかのようにその効果は見られず、利を得ているのは生産に関係する会社だけではないかと指摘されている。
ただし、大気汚染を引き起こすジプニーやトライシクルの電動化に対して、支持する層も多く、また乱暴な運転で知られるジプニーが交通渋滞を引き起こしているとの批判も強い。
これに対して、現在、全国で稼働しているジプニーは24万台程度に過ぎず、爆発的に増えている自家用車の方が交通渋滞の元凶であり、野放しの交通政策しかない政府当局と、売りっ放しの自動車会社にも問題があるとジプニー組合は批判をしている。
また、ドゥテルテの進めるジプニー近代化政策はフィリピンの伝統であるジプニーと零細な労働者をないがしろにするもので、新車に替えろというのは自動車会社を儲けさせるだけで、ドゥテルテの支持層であったジプニー労働者の離反を招いている。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news03&config=&command=body&no=446
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