ビルトによると、李書福氏はすでにダイムラーのディーター・ツェッチェ会長との間で株式の買収をめぐって会談を行った。李氏は、吉利汽車がダイムラーと提携することで、自動車産業に参入したアップル社やグーグルなどIT大手と勢力拡大を競っていくと表明した。
ダイムラーは、高級車メルセデス・ベンツや小型車スマートなどのブランドを製造販売している。現在同社の筆頭株主は、中東国クウェートの政府系投資ファンドで、同社の約6.8%株式を保有している。
「ビルト」は、現在ダイムラー株式の時価総額が約900億ドル(約9兆9000億円)であるため、李書福氏の出資規模は60億ドル(約6600億円)以上と推測した。
吉利汽車の親会社である吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)(浙江省杭州市)は2010年、約18億ドル(約1980億円)で米自動車大手のフォードから、スウェーデン自動車メーカー「ボルボ・カーズ」を買収した。13年、英名物の黒塗りタクシー、「ブラックキャブ」を生産する英マンガニーズ・ブロンズを傘下に収めた。17年5月、マレーシア自動車メーカーのロータス・カーズの株式51%を獲得した。
独メディア「ドイチェベレ」中国語電子版(4日付)は、吉利控股集団の急速な事業拡大の背景には中国当局からの後押しがあったと指摘した。
習近平国家主席が過去、浙江省トップに就任した02年に吉利汽車を視察した。当時中国政府系メディアが、習氏は「吉利のような(民間企業)を、われわれが力を入れて発展させなければならない」と発言した、と報じた。03年、吉利汽車は本部を浙江省台州市から、省都の杭州市に移転した。
また中国メディアによると、07年上海市トップになった習近平氏は同年の上海国際モーターショー期間中、吉利汽車のブースを訪ね、「吉利汽車のグローバル進出を一日も早く実現させるようにしたい」と述べた。
中国市場調査会社の胡潤研究院が昨年発表した中国人富豪ランキング、「胡潤百富榜2017年」によると、李書福氏と息子の李星星氏の総資産規模は1100億元(約1兆9000億円)で、10位にランクインした。
(翻訳編集・張哲)