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ベトナムのアパレル産業が直面する「エコ・フレンドリーかつ持続可能」という課題

 
Tan Chauの「royal silk」のシルクは、伝統的なアオザイドレスや、竹繊維が織り込まれた漆細工の家庭用品、最近ではTシャツや下着に使用されてきただけでなく、北部山岳地帯に住む先住民族による毛布、クッションやバッグなど、ベトナムの豊かな文化と職人技の歴史にこの繊維は組み込まれてきた。
 
こうした東南アジアの織物生産者としての伝統に加え、ベトナムは世界繊維産業の主要プレーヤーの地位を確立した。地元の報道によると、2016年には世界5位の繊維・アパレル品の輸出国となったという。ベトナム労働省と国際貿易管理局によると、アパレル産業における200万人以上の労働力と全国に6000以上ある繊維・アパレル企業が、このベトナム最大の輸出部門を支えた。
  
ベトナムの質の高い職人技や高スキルの労働力に対する評価の高まりや、政府のサポートのもと外国人投資家に魅力的な税制優遇措置を提供する工業団地の開発などによって、国際的なアパレルメーカーや製造業者、国際ファッションブランドが、アジアにおける次のアパレル・ハブ拠点として、次々とベトナムに向かっている。

ベトナム繊維協会によると、アパレル産業の今年の輸出は310億米ドルで、前年比10.23%の増加となることが見込まれている。また各種レポートによると、ベトナムはまた、織物分野で2桁成長を維持している唯一の国となっている。
 
一方でこの産業が大きな成長を遂げつつある今、炭素排出量や大量の産業廃棄物、不快な労働搾取工場のイメージなどで悪名高いこの業界においては、企業の社会的責任もますます重視されるようになっている。
 
今年の初め、ハイズン省の何百人もの住民が、香港を拠点とするアパレルメーカーのPacific TextilesとCrystal Groupの合弁企業であるPacific Crystal Textiles mill社に対し、5ヶ月もの間抗議活動を行った。地元住民は工場の放つ悪臭に対して不満を示し、顧客には日本のアパレル大手Uniqloも含むこの工場を工場排水による水質汚染で訴え、よりエコ・フレンドリーな基準を採用するよう求めた。
 
今やベトナムでは、アパレル産業の発展と成長を、持続可能でエコ・フレンドリーな方法で実現できるかどうかが重要な課題となっている。
  
より厳格な環境規制法の施行や、公害を発生させた組織に対して最高8万8000米ドルまで罰金を増額させるといった政府の導入する対策とは別に、自主的にこの産業を改善させようと模索する一部のアパレル企業各社は、ベトナムがよりエコ・フレンドリーな手法でアジアをリードするための潜在能力を秘めていると確信している。

「数年前に発生したバングラデシュ Savarの工場火災と崩壊事故の後、私は完璧な工場がどのようなものかを世界に示したいと考えました。」と香港を拠点とするアパレル品供給会社で、ベトナム南部に新しくオープンしたDeutsche Bekleidungs Werke (DBW)の親会社でもあるRoyal Spirits GroupのThomas Hebestreit CEOは述べた。
 
「アパレル産業は労働搾取で悪名高い業界です。我々は外部に対し、人々にとって最高の状態で衣料品製造を行うことが可能であることを示したいと考えました。」 Hebestreit氏によると、DBWは工場全体に空調を完備した珍しい工場の一つであるという。
 
1万8000平方メートルにも及ぶこの施設は、今年11月に操業を開始し、乾季の干ばつ時においても操業に必要なエネルギーの20%相当を供給できるソーラーパネルが装備されている。
 
この建物は、国際的に認知度の高いLEEDとLotus基準の認証を受けている。Hebestreit氏は、この新工場がエコ・フレンドリーで持続可能な操業として世に認知されることを願っていると述べた。
 
ベトナムではきれいな水の供給能力が不足しているだけでなく、工場排水が重大な環境問題となっている。そのため生産サイクルにおいて水の使用量を削減することは、アパレル業界にとって最優先事項となっている。
  
織物を洗うのに使用する水の再利用は、よりエコ・フレンドリーな生産を行おうとする工場の試みの一つであると、アパレル企業と協力して生産効率や品質を向上させるための経営コンサルティング・サービスを提供しているJG Consulting社のVincent Chengディレクターは述べた。
 
「洗浄ラインなど、(繊維を洗うのに使用する)水を再利用できるプロセスがあります。また化学物質を使用して繊維から色を取り除く代わりに、オゾンを使用して水の使用量を削減するオゾン洗浄と呼ばれる生産ラインもあります。」と彼は述べ、Phong Phu Joint Stock Companyはこの方法を採用しているベトナムのアパレルメーカーの1社であると続けた。
 
Maxport社はPatagonia、Nike、Arc’teryxやLululemon向けで有名なメーカーであるが、ベトナムの生産拠点に持続可能な慣行を取り入れた施設でも知られる。
  
「インフラ構築の最初の段階から、建物自体にエコ・フレンドリーな機能を組み込みました。いくつかの工場は建物の周りに植物を植えることで、空調に頼らずとも風が吹くと木々から冷却効果が得られます。」とCheng氏は述べ、この工場は標高の高い場所に建設されており、そのことも冷却効果を高めていると続けた。
  
結局のところ、新規でベトナムに参入する外国のアパレル製造業者は、顧客が望むことを知った上でこの地にやってくるため、エコ・フレンドリーで持続可能なプロセスを導入するのに時間を計画的に費やすことができる。
 
「ベトナムにおいては、外国人投資家は一から事業をスタートさせる機会が与えられています。そして彼らは、(環境保全に関心の高い)アウトドアブランドのアパレル顧客などとの取引を持っており、ベトナムに参入する際には、既にこの(環境に配慮する)考え方を持っています。」とCheng氏は言った。
 
「(ですが)こうしたことはあなたが指摘するものではありません。」と彼は述べた。「経営者と顧客こそがそれをコミットすべきなのです。」
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3196.html