ドゥテルテ大統領による「戒厳令」再延長が決まる
1986年2月に第10代フィリピン大統領マルコスは、フィリピンから一族及び取り巻と共にハワイへ逃亡、1989年、72歳で同地にて死亡したが、マルコスは国家財産を食い物にし、その源は9年間に及ぶ戒厳令であった。
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現大統領ドゥテルテはかつてマルコス戒厳令政権時代に検事任官をし、取り締まっていた過去から人権に対する姿勢はマルコスに似ているとの指摘もある。
また、マルコスを尊敬していると公言し、長年の政権が拒否してきた国立英雄墓地へのマルコスの遺体埋葬を許可するなど、時間を巻き戻す行為も目立つ。
12月13日、ミンダナオ島全域に対する戒厳令を1年間再延長することが上院、下院の特別合同会議で決まり、戒厳令がドゥテルテの任期が切れる2022年まで続くのではないかとの観測も流れている。
ミンダナオ島全域への戒厳令はミンダナオ島北部マラウィ市におけるイスラム武装組織を鎮圧するために3ヶ月間発令されたが、その後2017年12月末まで延長された。
今回の議会による承認は更に1年間戒厳令延長を求めるドゥテルテ側の要請を受けた儀式のようなもので、評決の結果は賛成240人、反対27人と圧倒的な差で承認された。
戒厳令再延長を求める理由として、ミンダナオ島の治安が回復していないとしているが、これは軍、警察の治安機関の一方的な見解であって、ドゥテルテは丸呑みにしていると批判が強い。
特に裁判所の判断なしで、治安機関が身柄を拘束できるために人権侵害が各地で発生し、特に少数民族に対する迫害が戒厳令発令以降は激増している。
また、憲法を遵守する側からは『憲法が規定する反乱の実態がなく違憲』という考えも強く、これに対して政権側は強く反論し政府筋は反政府武装勢力は全土に3800人、ミンダナオ島には1700人が存在していると言及。
しかしながら、この数字の根拠は曖昧で、しかもかつては全土で万人を数えた武装組織が政府筋が述べる数字が事実であるならば、戒厳令に関係なく武装組織は先細っているとの指摘もある。
こういった反対派からの指摘に対して、ドゥテルテはミンダナオ島に限らずフィリピン全土に発令する考えもあるとちらつかせている。
今回の上院と下院の票差で分かるように議会を絶対的に掌握しているドゥテルテがどのような次の一手を指してくるか、早くも歴代最低のアメリカ大統領と評価が定まる、トランプと似た思考であると言われている中、注目が集まっている。
Photo by Davao Today on Flickr
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