テメル大統領、社会保障制度改革法案を一部修正か?
グローボ系ニュースサイト「G1」が11月22日づけで伝えたところによると、ブラジルのミシェウ・テメル大統領が同日夜、社会制度改革法案の早期可決に向けて、ブラジリアの大統領官邸に議員たちを招いた晩さん会を行ったという。
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出席者リストにはホドリゴ・マイア下院議長、ディオゴ・オリヴェイラ予算管理庁長官、アントニオ・インバサイー大統領府秘書官、レオナルド・ピシアーニ・スポーツ振興庁長官などの閣僚の名前があるという。
法案に対する与党内での反発が強いことを鑑みて、法案の早期可決に向けて、政府には法案に多少の手直しを行った。その背景には現行のスケジュールでは選挙の年である2018年に新法が施行されることになり、国民に不人気な現行案のままでは再選に影響するとの議員たちの根強い不満の声がある。
議員たちの不満に対応すべく、大統領は22日の晩さん会において、政府が現在検討中の年金改革法案の一部改正案を披露した。
新案はまだ公式なものではないが、現行案からの主な変更点は下記の通り。
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最低受給開始年齢
現行案:男女とも65歳に引き上げる
新案:一定期間後に女性62歳、男性65歳に引き上げる
年金受給資格を得るまでの保険料最低拠出年数
現行案:一律25年
新案:民間企業従業員は15年
満額受給のために必要な保険料最低拠出年数
現行案:49年
新案:40年
追加受給額
現行案:最低賃金に連動させない、支給開始年齢は70歳
新案:最低賃金に連動させる
農林牧畜業従事者に対する特例
現行案:最低受給開始年齢は男女とも65歳以上、保険料最低拠出年数は25年
新案:最低受給開始年齢は女性が55歳、男性が60歳、最低拠出年数は15年
公務員に対する特例
現行案:最低受給開始年齢は男女とも65歳、保険料最低拠出年数は25年
新案:一定期間後に最低受給開始年齢は女性62歳、男性65歳に引き上げる。ただし教員は男女とも60歳、警察官は男女とも55歳とする。
受給までの保険料拠出最低年数は25年。暫定措置適用対象は女性55歳以上、男性60歳以上
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現行案は原案に対して今年5月に修正を加え、議会に提出されたものだが、法案が原案通り法制化された場合、今後10年間に政府が削減できる歳出は8000億レアル(約27兆2000億円)と見込まれていた。一方、現行案の歳出削減額は5600億レアル、新案では4800億レアル(約16兆3200億円)、と変更するごとに歳出削減効果は薄くなっていることがわかる。原案と比較し、新案では40%歳出削減額が減ることになる。
修正案により国民の痛みを先送りできるとはいえ、ブラジルの国家財政健全化に対する姿勢に厳しい目が向けられるのは必至だ。行き過ぎた選挙対応が経済成長への重しにならないことを祈るばかりだ。
(文/原田 侑、写真/Marcos Corrêa/PR)
写真は11月8日、ブラジリア。社会保障制度改革法案について話し合うテメル大統領(右から2人目)と議員や大臣
ソース:http://megabrasil.jp/20171123_37859/
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