ダヴァオ市は現大統領ドゥテルテが長年君臨した市で、大統領選に当選後は市長職を長女のサラ・ドゥテルテに、副市長は長男に座らせ、同地における一族の影響を維持している。
このように公職を一族間で独占、たらい回しにするのはフィリピンでは当たり前で、アメリカ型の民主主義体制を標榜するものの実態は中世の封建時代同然の政治状況で、官民ともに汚職がなくならない温床ともなっている。
さて、ダヴァオ市にあるミンダナオ大学の世論研究所がサラ・ドゥテルテ・ダヴァオ市長の支持率調査を10月11日から10日間かけて地元ダヴァオ市で行い、このほどその結果が公表された。
調査はダヴァオ市民1200人を対象に行われたが、その調査方法が対面式なのか電話によるものなのか、また無作為なのかどうか全く発表されていず、調査方法の信憑性に疑問が持たれている。
これによると市民各層でサラ市長に対して90%以上が評価すると答えていて、高支持があったと手放しで分析している。
しかしながらこういった指導者に対する高支持は北朝鮮や中国、あるいはアフリカなどにあるような尋常でない国家体制でしか見られず、ダヴァオ市民はおかしいのではとの批判もある。
この調査の性別では男性が90.88%、女性が90.87%と性別による上下はなく、最も高い支持を得たのは未亡人と離婚者グループの92.30%で、次にLGBTもしくは第3の性グループが92.16%。
所得別では富裕層が最も高く92.30%、所得が下がるに連れて支持率は減少し、最貧困層では90.87%となった。
また、学歴別での差はあまりなく、小学校卒で90.91%、高校卒90.88%、カレッジ卒が90.87%となった。
いずれの数値も90ポイント以上を獲得していて、父親のドゥテルテの支持率が勢いを失って下降している中、娘を引き合いにして父親の支持を回復しようとするような、意図的、露骨な調査と批判されている。
ドゥテルテ自身が立候補時に高齢で2022年までの任期を全うできるのかという懸念が当選時から囁かれていて、仮にドゥテルテが任期途中の辞任をした場合、娘のサラを後継者として大統領候補に担ぐのではないかとの観測もあり、今回の調査はその流れに乗った地元の『ヨイショ』の支持率調査ではないかとの指摘もされている。
現在のところ、サラ市長は大統領選には出ないと言っているが、父親が同じ手を使って当選した経緯もあり、同市長の発言は目くらましではないかと見られている。
一見、公平な調査のように見えても設問がドゥテルテ側に有利に作られていたり、対象者が全部ドゥテルテ支持者であったり、反ドゥテルテの言説、行動を許さないダヴァオ市ではこの手の調査は眉唾物と見て良いとの辛い指摘もある。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=429