金融専門調査会社エコノマチカによると、上記4行の業績は第2四半期との比較では5.7%減少したものの、136億レアル(約4700億円)の利益を計上するに至った。前年同期比で10.4%の増益とのことだ。
4大銀行の2017年第3四半期利益額はそれぞれ下記の通り。
イタウー:60億7700万レアル(約2102億円)
ブラデスコ:28億8400万レアル(約998億円)
ブラジル銀行:28億4100万レアル(約983億円)
サンタンデール:17億9500万レアル(約621億円)
好業績の要因としては、貸倒率の低下が挙げられる。これにより貸倒に備えるための引当額を低水準におさめることができ、結果、利益が増大したものとみられる。
エコノマチカの調査によると、4大銀行における2017年第3四半期の貸倒引当額合計は174億7000万レアル(約6044億円)で、前年同期の227億7000万レアル(約7880億円)から大幅に減少している。これは2015年第1四半期以来の低水準だという。
各行の経営陣は、自行の貸付先に対する引当率と不良債権化率の緩やかな上昇傾向を認識しつつも、より幅広く資金供与を行う意向を示している。具体的には個人向け融資枠の早期拡大をもくろんでいるものと思われる。
ブラジルの銀行における貸付スプレッド(利ざや)は世界でもトップクラスの高さだが、それでも企業向け融資スプレッド(平均で23%程度)は、個人向け(平均50%程度)に比べると格段に利益が薄い。現在の融資先は企業が中心だが、銀行が短期間で利益率を上げるには、個人貸付へのシフトが最も手っ取り早い。
個人向け融資は貸倒率も高いため、従来、慎重な姿勢を見せていた銀行勢だったが、2017年8月、ブラジル銀行が個人向け融資を拡大する方向性を発表したことで業界全体が個人への与信に向かい始めた。
来たるべきブラジルの景気回復と個人の起業意欲に賭ける金融界。勝負の時はすぐそこまで来ている!?
(文/原田 侑、写真/Marcelo Camargo/Agência Brasil)
写真は4大銀行のひとつ、ブラジル銀行。ブラジリアにある支店
ソース:http://megabrasil.jp/20171115_37775/
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