景気が好調なうえ、今秋に実施した企業アンケート調査の結果も良好だったためで、18年については成長率が2.2%に拡大するとみている。ヴァンスレーベン専務理事は「次期政権は好景気を利用して企業競争力強化の構造的な土台を作るべきだ」と指摘。研究優遇税制など総額400億ユーロの税負担軽減を実施するよう要求した。
DIHKは毎年3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を行っており、今回の秋季調査では約2万7,000社から回答を得た。業種別の内訳は製造が27%、建設が7%、流通が22%、サービスが44%となっている。
それによると、事業の現状を「良い」とする回答の割合は前回調査(初夏)の48%から51%へと上昇。「悪い」(6%)との差は40ポイントから45ポイントへと拡大し過去最高を記録した(下のグラフ参照)。
同数値は4業界すべてで改善。建設では前回の56ポイントから64ポイントへと上昇し、製造業でも44ポイントから48ポイントへと拡大した。建設業では所得の拡大と低金利で住宅需要が伸びているほか、財政再建を背景にこれまで抑制されてきた道路などの公共投資がここにきて活性化してきたことが大きい。
自動車販売店では現状判断が大きく悪化した。都市部での走行禁止が現実味を帯びているディーゼル車の需要が減り、在庫評価額の引き下げが避けられない状況となっているためだ。
現状判断はこのほか、金融業でも振るわなかった。低金利と規制強化、デジタル化投資がこれまでに引き続き足かせとなっている。
今後1年間の事業見通しを「良い」とする回答は前回の27%から25%へとやや低下した。「悪い」が横ばいの11%だったことから、「良い」と「悪い」との差は16ポイントから14ポイントへと狭まった。ただ、長年の平均である9ポイントを大きく上回っており、先行き見通しは依然として明るい。
メーカーを対象に今後1年間の輸出見通しを尋ねた項目では「輸出が増える」との回答が前回を1ポイント上回る34%に上った。これまでの投資抑制の反動で世界的に経済が拡大していることが大きい。先進国では雇用と個人消費の拡大、一部の新興国では資源価格の安定がプラスに働いている。
ただ、米トランプ政権の保護主義や英国の欧州連合(EU)離脱といった政治リスクや、ユーロ高がマイナス要因となったことから、輸出見通しは小幅改善にとどまった。
今後1年間の投資額を「増やす」企業と「減らす」企業の差は前回の17ポイントから19ポイントに拡大し、過去最高を更新した。ドイツの景気は従来の個人消費から輸出、投資へと厚みを増している。