完全制圧にならないのは、今だ戦闘員30人程度が人質20人と共に立て籠もり、また戦闘員の親族40人程度残っているためと、各所に仕掛けられた爆弾装置の除去に時間がかかるためと国軍側は説明している。
9月16日、フィリピン国軍の発表によると同日朝の掃討作戦によって武装組織の最高指揮官である『イスニロン・ハビロン』と同組織と連携、共闘していたマウテ・グループの中心人物『オマル・マウテ』の殺害が確認された。
ハビロンは中東の武装組織『イスラム国(IS)』から司令官の命を受け、東南アジア地域のISの拠点としてフィリピンを舞台に暗躍し、アメリカ政府からは危険人物として500万ドル、フィリピン政府からも1千万ペソの懸賞金が懸けられていた。
また、オマルにはフィリピン政府から500万ペソの懸賞金が懸けられていて、兄のアブドラ・マウテは9月上旬の戦闘で死亡が確認され、オマル・グループは今回の弟の死亡により指導者を失った模様。
長期化した戦闘では国軍と警官、市民の側に1000人以上の死亡、反政府武装組織側は850人以上の死亡が確認されている。
また今回のマラウィ内戦では市街地が戦闘によって徹底的に破壊され、周辺住民を含めて40万人近い人々が国内難民と化し、対応が急務な状態となっている。
このため、国際赤十字などのNGOが救援活動を行っていて、日本からはジャパンプラットフォームの資金で日本のNGOが活動を始めたものの、本格的支援には至っていない。
今回のマラウィ市の内戦では、当初、国軍はこの戦闘は数日で終わると楽観的に見通していたが、その国軍の甘さが戦闘を長引かせた要因になっていると指摘されている。
また、マラウィ市内に地下トンネルを作るなど武装組織側の周到な戦闘準備が行われ、しかも大量の戦闘員が活動していたことに対して、フィリピン政府側の事前の情報収集、対応の不手際がここまで事態の拡大を招いたと批判がなされている。
これに対して同地域はイスラムの牙城で、マウテ・グループを組織したマウテ家は地元の名家であり、周辺住民は『もの言えば唇寒し』で殺されるのを恐れ、マラウィ市内での武装組織の戦闘準備活動を見て見ぬ振りをせざるを得なかったとの見方もある。
これは、フィリピン人のイスラム教徒が重視する血縁、地縁と関係があり、戦闘員を支援、擁護する強力なネットワークがミンダナオ島にはあることを示している。
このため、今回の戦闘に加わった戦闘員は数百人規模で、既にミンダナオ島各地に脱出していて、新たな芽がばら撒かれ、マラウエイ内戦を契機に発令中の『戒厳令』を継続する態度を大統領は変えていない。
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=426