ベトナム繊維協会(VITAS)のTruong Van Cam会長によると、ベトナムは東南アジア地域の経済大国であり、交通・金融・ロジスティックの主要なハブとなってきているという。
その比較的安定した政治や法的・経済構造から、アジアの中で最も成長速度の速い国の一つとして最近までは認識されていた。日用消費財の小売部門成長の次期フロンティアとしても、多くの専門家がベトナムに注目していた。
ベトナムの経済成長に伴い家計可処分所得が上昇し、消費者の嗜好がより品質の高い製品へと移行するとこうした専門家の多くが予想していたという。
それに伴い、消費者はベトナム企業が製造した質の低い従来の製品から遠ざかり、アメリカやヨーロッパなどの企業が生産した質の高い製品に移行している。
ニールセンが最近発表した調査結果によると、ベトナムには現在200近くの外国ブランドがあるが、ほぼ全ての小売部門において地元ブランドよりもこうした国際ブランドを好むと回答した消費者が全体の56%に達したと判明している。
消費者は地元ブランドを信用せず国際ブランドの方が品質が高いと考えているため、こうした国際ブランドに対してならば多額の出費をいとわないと考える消費者が大多数なのである。
価格・品質の問題
ベトナムでは低所得市場においてのみ価格と価値が消費者行動の重要な決定要素となる。こうした市場では、例え小さな違いであろうと需要に対し大きな影響を与える。
地元企業が国際競合企業と争える場はこうした低所得市場だけなのである。高所得市場では国際ブランドがほとんど競争することもなくたやすく勝利を収めることができる。
調査結果においてもこの傾向が衰える兆しはなく、可処分所得が増え続けベトナムが高中所得層に移行するため、国際ブランドが消費財の小売市場でさらに普及すると予測されている。
教養があり志の高い消費者たちが占める中流階級層は、国際ブランドが日常生活にもたらす地位や品質を達成するためには喜んで妥協すると調査結果は示している。
品質が高い国際ブランドとの競争に直面した場合、大半の地元企業が受け身姿勢であり、商品価格を下げることばかりに焦点をおくため、品質の向上については注意を払わず必要な努力も怠ってきた。
一貫した低価格販売戦略により、地元企業は品質の低い商品の生産に慣れきってしまったのである。
流通
主要都市部に侵略を続ける国際ブランドとの競争に断念した地元企業の中には、地方などのより小さなコミュニティに店舗の移行を決定したものもある。
インフラがきちんと整備されていないベトナムのような経済における小規模市場の小売部門では、国際競合企業よりも地元企業が比較的優位に立つ。
しかしながら、多国籍化を促進するオンラインマーケティングを主体とした小売チャンネルがベトナム全土の小規模コミュニティへの侵略劇を続けているため、地元企業にとっては地方移転も一時的な猶予に過ぎない。
地元企業の大半がこれまでeコマースの存在を軽視しており、今後もその傾向が続く可能性が高い。
多くの小規模企業はこうした販売経路に投資する知識や予算が単になく、ベトナム小売企業が大規模国際ブランドに制圧されることに関しては少しの疑念の余地もないと専門家は結論づけた。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3036.html