2017年9月20日

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コーチング活動で夢をつかむ日系ブラジル人

コーチング活動で夢をつかむ日系ブラジル人

日本のラテンアメリカ系移民コミュニティーでライフコーチとして活動している中原シゲオさん(33)が執筆に参加した書籍「O Poder dos Relacionamentos(繋がりの力)」の出版発表会が、先月(8月)群馬県で行われました。

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「O Poder dos Relacionamentos(繋がりの力)」(Saphi社)は2017年にブラジルで出版された書籍です。
 
本は28章で構成されていて、中原シゲオさんをはじめ、ブラジルで活躍する28人のコーチが1章ずつを担当して、職場、友情、家族、恋愛などの人間関係についてコーチングをしています。
 
中原シゲオさんはブラジル、サンパウロ州の出身。幼いころにミナスジェライス州に引っ越し、10歳から広大な農場で育ちました。
 
そんな中原さんは、自分にとって生き方の選択肢はふたつしかなかったと言います。動物を友人にするか、辞書を友人にするか,,,。
 
いつかは自分自身の本を出版したいという夢があった中原さんは、辞書を友に選び、毎日、ポルトガル語の単語を勉強しました。
 
19歳で軍隊に入り、1年後に退役した後、日本へ出稼ぎにやってきましたが、日々の生活に満足できずに暮らしていたそうです。
 
そんな中原さんの人生を変えたのは、コーチングとの出会いでした。
 
コーチングとは、日本大百科全書によると「相手に質問しながら、その人の潜在能力や問題の解決策を自主的に引き出し、人材開発を進める技術」とあります。
 
1対1のコミュニケーションを通じて、その人が「何を成し遂げたいのか」、「目標に向かってどのように行動しているか」、「やってみて具体的な成果は上がっているのか」、「目標達成の障害となっていることは何か」といったことがらを、自分自身で考えて答えを出せるように対話していきます。コーチングの現場は、まさに質問とリスニングが繰り返えしです。
 
コーチングは日本では1990年代から少しずつ浸透してきて、職業としてのコーチも近年、徐々に認知されつつあります。国際コーチ協会(ICF)の調査では、世界には約5万3千人のコーチがいます(2016年現在)。
 
精神科カウンセリングが発達しているヨーロッパ、アメリカ、ブラジルでは流行の職種となっており、ネット専門書籍店「リヴラリーア・コーチ」に並んでいる関連書籍だけでも70冊以上あります(2017年9月現在)。
 
中原シゲオさんが執筆を担当したのは、「O Poder dos Relacionamentos(繋がりの力)」の第23章。この章には「難しい会話から独創的な会話へ」というタイトルがつけられています。
 
対人関係における会話のむずかしさ…これは、誰もが経験していることでしょう。
 
上司と話す時や、恋愛関係にある相手と話す時に、自分の意図をわかってもらえなくて悔しい思いした人や悲しい思いをした人はたくさんいると思います。
 
そんな、意思の疎通のむつかしさに悩む会話から、独創的で楽しい会話にするためにはどうしたら良いのか、そのために会話中にフォーカスすべきポイントはどこなのか…。これまで気づかなかった多くのことを、この本は教えてくれるでしょう。
 
例えば、恋愛をする中で、相手と意見があわなかったり、結果的に別れてしまうこともあると思います。そんなとき、会話のポイントを「解決策」ではなくではなく、「相手の悪いところ」や、「理解してもらえない自分のこと」ばかりにフォーカスしてしまっていたのかもしれません。
 
別々の環境で育ち別々の価値観を持ち、夢や希望も違う、そんなカップルが一緒になるには、当然ながら忍耐力や相手を理解しようとする努力が必要です。その努力の結果、自分が望んでいない結果を導いてしまう…と感じている人は、もしかしたら努力すべきポイント自体がズレているのかもしれません。この本は、そんなことを考えさせてくれる1冊なのです。
 
また本書では各章に課題が出されており、さまざまな質問に答えていくトレーニングを通して、より自分と向き合うためのコーチングを体験できるつくりになっています。
 
コーチングに興味ある方はもちろん、ひとりの人間として成長をしたい方にもお薦めの一冊です。
 
(写真・文/長倉チエミリズレイ)
中原シゲオさんはフェイスブック「Meu Futuro.jp(私の将来)」というページでもたくさんの知識や経験を共有しています。「O Poder dos Relacionamentos(繋がりの力)」(Saphi社刊、ポルトガル語)についての問い合わせも同ページへ
 
ソース:http://megabrasil.jp/20170918_37334/
 
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