出展者数は2年前の前回を約10%下回る994社へと減少するものの、世界初公開の件数は前回の219件から228件へと増加し過去最高を更新する。
主要な自動車メーカーは4つのトレンドをもれなく重点分野に設定しており、高級車大手のダイムラーは今年初、「コネクテッド(C)」「オートノモス(A)」「シェアド・アンド・サービス(S)」「エレクトリック(E)」の計4分野で事業を強化するために、それぞれの頭文字をとった「CASE」という名の企業戦略を打ち出した。競合BMWも「ACES」という名で同様の取り組みを行っている。
ドイツの本社を置く自動車3社はIAAの開幕に合わせて電気駆動車の拡充加速方針を相次いで打ち出した。電気自動車(EV)の航続距離の拡大や低価格化、各国の環境規制強化を背景に電気駆動車が普及期に入ろうとしていることが背景にあり、BMWは2025年までにハイブリッド車(HV)とEVを計25モデル投入。そのうち12モデルをEVとする。ダイムラーは「メルセデス」ブランドの全モデル(計50以上)で22年までにEVないしハイブリッド車(HV)の販売を開始するほか、超小型車ブランド「スマート」を20年以降、EVに一本化する。
フォルクスワーゲン(VW)グループは11日、25年までに電気駆動車を80モデル以上、新規投入する計画を明らかにした。そのうちEVは約50モデルで、従来計画(30モデル)から大幅に拡大する。
大衆向けEV「モデル3」の販売を7月に開始した米テスラはすでに40万台の受注を獲得した。既存の自動車メーカーは需要を奪われることへの危機感が大きく、EVモデルを早期に拡充せざるを得ない状況だ。
ただ、規模が小さいメーカーはEV開発に十分に手が回らないというジレンマを抱えている。サプライヤー大手のボッシュはこうした状況を踏まえ、モーターとトランスミッション、パワーエレクトロニクスからなる“オールインワン”型の電動パワートレインを開発した。顧客の幅広いニーズに対応できるのが強みで、19年にも市場投入する計画だ。
サービスの重要性高まる
自動運転の分野では開発提携の動きが主流となっている。各社はEVなどの開発費が大きく資金的なゆとりがないうえ、提携すると相乗効果で開発の加速も見込めるためだ。
ドイツメーカーで共同開発の先鞭を切ったのはBMWで、同社は昨年7月、米インテル、イスラエル企業モバイルアイと提携した。21年までに完全自動運転車を市場投入する目標で、同連合にはその後、自動車部品の米デルファイ、独コンチネンタル、完成車大手のフィアット・クライスラー(FCA)が参加した。
これに一線を画する形でボッシュとダイムラーは4月、完全自動運転システムの開発で提携した。ボッシュはロボットタクシーを18年にも小規模投入する計画だ。
自動運転の実現に欠かせない高精細地図の分野では合弁会社ヒアにダイムラー、BMW、アウディの独高級車大手やインテルなど計7社が出資した。ボッシュはヒアの競合トムトムと提携しており、協力関係は入り組んでいる。
コネクテッドカーと自動運転が普及すると、新たなサービスが誕生し、自動車業界に占めるサービスの比重が大幅に増えることから、各社はここでもしのぎを削っている。コンサルティング大手プライスウォーターハウスクーパースによると、業界で創出される付加価値に占めるメーカー、サプライヤーおよびディーラーの割合は現在の85%から30年には50%未満へと低下。これに反比例してモビリティーサービスは約20%を占めるまでに成長する。
ソース:http://fbc.de/sc/sc40295/