ECBは同日に開いた定例政策理事会で現行金融政策の維持を決め、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.4%に据え置くことを決めた。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、量的金融緩和策の来年以降の方針を10月26日に開く次回の理事会で決定する方針を打ち出した。
ECBはユーロ圏のデフレ回避と景気下支えを目的に、ユーロ圏の国債や資産担保証券(ABS)、担保付き債券(カバードボンド)、EUの機関が発行する債券などを買い入れる異例の量的金融緩和を15年3月に開始。現在の買い取り額は月600億ユーロで、2017年12月末まで実施することになっている。
ユーロ圏では景気の緩やかな回復が進んでおり、17年4~6月期の域内総生産(GDP)は前期比で0.6%増加。17四半期連続のプラス成長となった。ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、17年の予想成長率を前回(6月)の1.9%から2.2%に上方修正した。このためECBは来年以降も量的緩和を続けながらも、規模を縮小するのは確実な情勢。市場の注目は、どのように縮小を進めるかに集まっている。
量的緩和見直しの判断でECBが重視するのが、消費者物価の動向だ。物価の上昇は依然として鈍く、8月のインフレ率は前年同月比1.5%と、ECBが目標とする「2%をわずかに下回る水準」を大きく割り込んでいる。内部予測では17年のインフレ率を前回と同じ1.5%に据え置いたが、18年は1.2%、19年は1.5%と、いずれも0.1ポイント下方修正した。
さらにドラギ総裁は、このとろユーロ高・米ドル安が進行しているため、ユーロ圏の輸入コストが下がって物価上昇の足かせとなることや、景気に悪影響を及ぼす懸念を表明。雇用が改善しているものの、賃上げの動きが鈍いことで物価が上がりにくい状況にあることにも言及した。これらを踏まえて、市場では量的緩和を一気に縮小するとユーロ高が加速する恐れがあることから、ECBが段階的に縮小するとの見方が有力だ。
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