EUと英国の離脱交渉は2段階方式。
◇英国に居住するEU市民の権利保護
◇英国が拠出を約束したEU長期予算の分担金など最大1,000億ユーロに上るとされる「清算金」の支払い
◇英国の北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの国境管理問題
◇その他の法的問題
――の4つを協議する。これらの離脱条件で「十分な進展」があったと加盟国が判断すれば、第2段階として自由貿易協定(FTA)など将来の関係をめぐる協議を進めることになっている。
初の本格的な交渉となった7月の第2回会合では、離脱条件について双方の主張を確認するにとどまった。今回の第3回会合では、市民の権利、国境管理問題で一定の進展があった。しかし、最大の対立点となっている清算金をめぐる問題で、双方が主張する支払額に大きな隔たりがあり、EUのバルニエ首席交渉官と英政府のデービスEU離脱担当相の話し合いは平行線をたどった。英国側は離脱決定前に約束していた拠出について、離脱が予定される2019年3月以降の分は支払う義務がないと主張。これに対してEU側は全額の支払いを求めている。
離脱交渉の期間は原則2年だが、英政府がEU離脱を正式通告した3月29日にカウントダウンが始まったため、実質的な交渉期間は限られている。交渉結果は欧州議会などの承認を得なければならず、その手続きに時間がかかることから、18年秋には交渉を妥結させる必要がある。英国側は状況が混迷したまま離脱するのを避けるため、早期に第2段階の交渉に入りたい考えで、10月19、20日に開催されるEU首脳会議で同交渉の開始を取り付けることを目指している。
しかし、バルニエ首席交渉官は第3回会合後の記者会見で「主要な問題で決定的な進展はまったくなかった」と発言。将来の関係をめぐる交渉の開始をEU首脳会議に勧告するには「ほど遠い状況にある」と述べた。
離脱交渉は毎月1回、1週間の日程で行われることになっている。デービスEU離脱担当相は、清算金問題でEU側に「柔軟性」が求められるとして、EUの強硬な姿勢を批判したが、英国側はEU首脳会議までの2回の交渉で離脱条件の合意にこぎ着けるため、妥協を強いられそうな状況だ。
ソース:http://fbc.de/eur/eur4477/