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中古車輸入大国タンザニアの自動車部品市場の実態レポート

 

 

部品市場へのアクセス

 

 

 

マップの通り「オフィス街」「卸市場」「中古部品市場」が明確にエリアが分かれている。

オフィス街

日本法人の中古車輸出事業者もオフィス街に事務所を設置していることが多い。政府関係の建物や港が近いこともありこのエリアに行くと警備厚く、スーツを着ているタンザニア人も多いエリアだ。政府関連の建物が多く写真を用意できていないのが残念である。国が運営するバスの始発地であったり、ザンジバル島へ行くフェリー乗り場だったり、外資系高級ホテルもあるので、ある程度安心のできるエリアだろう。

 

自動車部品卸市場

<マップ記号>

A: カーアクセサリー中心の新品商品の卸販売店エリア

B: 新品補修部品中心の卸販売店エリア

 

 

 

地名はカリアコー(KARIACOO)と言い、住んでいる人々も活気のあるエリアであるが、お金持ちの現地人はあまりその地に足を運びたくないと言われることが多い。渋滞も酷く、交通整理がされないと何時間も進まない大渋滞が発生しする。

しかし道は非常に綺麗に舗装されている。画像にある白っぽくなっている道路はバス専用の道路で、一般車は走行することが出来ない。バス専用道路が完成したおかげで渋滞は減ったとも言われている。実際調査データがなく、現地人の印象なので参考程度の情報であるが、時間も適当で価格交渉が必要な乗り合いバスとは違い、ある程度定期便で明朗会計であり現地の学生も多く活用している。

 

日曜日のカリアコーは閑散としており夕方近くになるとバイクに乗った若者が増えてくる。近くに警察署があるにも関わらずノーヘルでバイクを飛ばしている若者もいる。

 

 

 

 

カリアコーは新品の自動車部品を販売する写真のような店舗がズラッと並んでいる。商品は日本製よりも中国製、マレーシア製が多い印象で日本では見たことが無い商品もある。エアコンフィルターやエアフィルター、オイルフィルターは、最近日本の通販でもよく売られている中国製商品と同じである。フィルター関連のタンザニア市場流通価格は日本と大きく変わらない。日本円にして1,000円~3,000円程度である。日本で流通している中国製商品を仕入れて、タンザニアで販売しようと思っても既に中国が直接卸しているため価格競争では勝ち目がないだろう。価格以外での付加価値が現地人にとってどの程度効果があるのか深く調査する必要がある。

 

余談だが、日本と比べてアフリカの人々は将来どうするかという考えが非常に少ない印象だ。今どのように生活するかが重要である。日本製の質が良いものを買いたいのはあたりまえだが、とりあえず今安く修理したからコピー商品を購入するという購買行動が通常のなかで新品商品での中国製品との戦いは激戦であることは間違いないだろう。

 

 

TOYOTAのオイルフィルターであるがこの中に偽物がある。ちなみに全て同じ車両用のオイルフィルターだ。偽物は一番左の商品でよく見るとフォントがおかしい。上蓋に張られているステッカーもよく見ると質の低さが分かる。ただ、実際は全て偽物の可能性もありえる。現地人も判断せずどこからどのように流通しているのか分からない。偽物は当たり前のように製品の質も悪い。オイルフィルターであればエンジンオイルが漏れてきてしまい、エンジン修理が出来なくなってしまうこともある。新品部品の卸市場では目利きが重要で、何も知らずにいくと偽物を高く売りつけられるところだ。だから現地人もあまり近づかないのであろう。

 

 

 

中古部品市場

中古部品市場のエリアはILALA(イラーラ)と言う地域で、中古部品の店舗が集まっている地域である。カリアコーと比べても雰囲気が全く違う。まず道路がコンクリートではなくガタガタの土道路である。

 

 

ある店舗の倉庫内だが一面に部品が敷き詰められている。日本の在庫管理システムのようなものは無く、経験と感覚で管理されているのであろう。中古部品は先ほどの新品部品とは違い偽物が少ない。そこの安心感から中古部品を好むタンザニア人も多い。流通ルートは主に日本から直接コンテナとドバイの中古部品オークション経由で輸入されている。売れ筋の部品項目はエンジン、サスペンション、ロアアーム、タイロッド、ドライブシャフト、エアコンコンプレッサーあたりだと現地人は言う。確かに言われた商品が倉庫には多く保管されている。エンジンは故障した場合修理が難しいのでASSY交換となるのだろう。 価格帯はエンジン型式にもよるが日本円で15,000円~40,000円ほど。車両を買いなおすよりはるかに安い。サスペンションをはじめ足廻りが売れるのはアフリカならではの悪路と雨季になると水没した道路を走行し錆が発生すること原因だ。普通の乗用車で崖のような岩がゴロゴロしている道も走行してしまう。すぐに壊れることは想像がつく。

 

中古部品の流通は中古車販売の売れ行きに大きく影響を与えている。中古車は高価であるため故障しても新しい車両を買いなおすことが出来ず、エンジンは新品を手に入れることが困難なので中古しかない。となると中古エンジンを手に入れやすい車両が人気になるという側面もある。

 

 

中国製品への考え方

現地に密着出来ているのはどこの国なのか?

 

アフリカで流通している中国製品は非常に多くその影響力は大きい。偽物を作る行為や法律的な問題は抜きとして考えると、中国製品は現地に密着していると考えられるのではないだろうか。交通インフラが整っていない環境で自動車は交通手段として欠かすことのできないものである。タンザニアにおいては自動車の関税が約40%、輸送費、保険費用、検査費など重ねていくと例え30万円の車両でも2倍近くの費用が必要となってくる。タンザニアや隣国ザンビアのガソリン代は日本と相場が変わらない。自動車維持の難しさが分かる。

故障に対する費用は出来る限り抑えたいのは日本人も一緒ではないだろうか。日本の通販で購入できる安い自動車部品は中国製が多いだろう。自動車メーカーが販売する部品を買わない人が日本でさえいる。現地人は中国製は粗悪だと言うが購入することは辞めない。全て価格の問題である。日本企業は中国企業と上手に付き合う必要があるだろう。

 

 

最後に

自動車関連の市場調査でタンザニアへ行くことは面白い国である。ただし本当の市場価格を調査したり、どこからいくらで仕入れているのか聞くためには現地人と一緒に行くことが賢明である。日本人だけでは冷やかしだと思われることも多い。そして見えないスラム街とのラインが分からない。ローカルルールはローカル人に聞くことが一番で、アフリカ進出には良いパートナーを見つけ出すことが成功のポイントとなるだろう。

 

(参照)アフリカ情報メディア「kururica.com

http://kururica.com/news/162