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習近平「金正恩は大嫌い」でも体制を延命させるワケとは?

 
◆ 不可解な習近平氏の北朝鮮問題対応
 
オバマ政権下で在中国米大使館を3年間務めたボーカス氏は「習近平氏が口にした侮べつの言葉は、金正恩を形容するときのものだった」と語った。
 
習氏が2012年、中国共産党の最高指導者になってから、かつての「血の同盟」にすきま風が吹き始めた。慣例となる北朝鮮訪問はいまだに実現せず、金正恩氏の度重なる訪中要求を却下したと伝えられている。
 
その反面、核・ミサイル開発を止めない北朝鮮に国連が経済制裁を強化し、トランプ政権が制裁に協力するよう強く求めているにもかかわらず、中国当局は北朝鮮への支援を続けている。今年2月、北朝鮮からの石炭輸入を年内いっぱい停止すると発表したものの、北朝鮮の生命線となっている原油の供給は継続している。
 
習近平政権は北朝鮮に致命的なダメージを与えず延命させようとしている。これについて、ボーカス氏は習政権が「半島の安定」を望んでおり、北朝鮮の体制崩壊を避けたいからだと考えている。「もし崩壊すれば、北朝鮮から難民が中国に押し寄せ、中国の裏玄関(北朝鮮)に米国が進駐し、朝鮮半島で米韓両国の影響力が強まる」ためだ。
 
また、中国問題専門家の文昭氏は自身の番組で、習近平の目下の最大の関心事は19大の無事開催だ。北朝鮮を過度に刺激することも、米トランプ大統領との関係悪化も避けたい。「習近平の一見矛盾するような言動はそのためだ」と述べた。
 
◆ 江沢民時代の負の遺産に悩まされる習近平氏
 
中国最高指導部に近い関係筋など各方面の情報によると、江沢民派は北朝鮮の「心が通っている」盟友であり、江派政権時代にその核・ミサイル開発を全面的に支援していた。
 
先代の金正日政権時代から、北朝鮮を歴訪した中国最高指導部高官、周永康(前共産党中央政法委員会書記、無期懲役服役中)、曽慶紅・元国家副主席、張徳江・全人代常務委員会委員長などはほとんど江沢民派のメンバーだったことから、北朝鮮に対する習近平政権内部の温度差が垣間見える。
 
ウィキリークスが数年前に一時公開した情報では、中国にいる米情報機関の協力者は「北朝鮮に核兵器がなく、すべて中国政府が設置したものだ」と米政府に報告したという。
 
中国核工業部(現在の中国核工業総公司(CNNC)の前身)の関係者は以前、長年、北朝鮮の核開発の技術者は中国で養成を受け、主要な先端技術・原材料も中国から提供され、一部の実験は中国の核施設で行った、と中国が全面バックアップしていたと証言した。
 
いまとなっては、政治闘争で劣勢となっている江派にとって、核を保有する「盟友」金正恩政権は、習近平側を脅かすカードでもある。まもなく共産党第19回大会が開かれるため、波風を立てたくないのは習氏の本音だと文昭氏は指摘する。
 
こうした中国側の「弱み」を知ってか、中ロ印など新興5カ国(BRICS)の首脳会議が中国アモイで開幕した9月3日、北朝鮮は核実験を行った。中国を挑発するためのものと分析し、「中国側の思惑を見透かした金正恩は今、やりたい放題だ。19大前に再び核実験を行う可能性が高い」と推測する。
 
(翻訳編集・叶清/李沐恩) 
 
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/09/28296.html