ベトナムの繊維・アパレル産業における「低排出エネルギー技術」とは?
世界銀行はベトナムの繊維・アパレル企業向けに、省エネルギーのための近代設備投資に対する資金を融資する「ベトナム企業のためのエネルギー効率プロジェクト(VEEIE)」という3億1250万米ドル規模のプロジェクトを正式に開始した。
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この融資パッケージは、米国国際開発庁(USAID)とベトナム繊維協会(Vitas)が8月23日にハノイで開催したワークショップ「ベトナムの繊維・アパレル企業における低排出エネルギー技術導入に対する技術援助」という取り組みの一環として導入された。
ベトナム企業が近代技術に投資するためのローンを提供することを通じて、世界銀行はベトナムの、特に繊維・アパレル企業の効果的かつ安全なエネルギー活用を支援することを目指している。
このプロジェクトは2017~2022年の期間に、次の4項目の組み合わせで実行される。第1はエネルギー効率投資に対するローンで、世界銀行は5年間で3億1250万米ドルの融資枠を提供し、この資金は商業銀行に振り分けられて企業の融資に活用される。
第2は企業や関連当局に対する技術と能力強化支援で、第3はリスク分担基金の設立、最後は1000万米ドルの地球温暖化対策プログラムである。
「ベトナムの繊維・アパレル企業は低排出エネルギー技術に対する投資資金の最大80%について、長期・低金利ローンを受けることができるため、特にこのプロジェクトの恩恵を享受することができます。」とVEEIEの共同リーダーであるChu Ba Thi氏は述べた。
これまで商業銀行と世界銀行との間に仲介業者は介在しておらず、ベトナムの企業は商業銀行に登録しさえすれば申請書が世界銀行に直接送られるため、こうした融資を容易に受けることができるとThi氏は続けた。
このプログラムを実施することにより、世界銀行は年間37億キロワットの電力、215万トンの石炭使用量、967万トンのCO2排出量を削減することを目標としている。
Viet Thai Garment Export JSCの代表は、同社の取締役会では近代的でエネルギー効率の良い技術や、外国パートナー企業の厳しい基準に沿った投資の重要性を認識しており、同社では照明システムと、日本やヨーロッパから輸入されたボイラーおよび蒸気配管システムに投資し、CO2排出量の削減やエネルギーの節約に取り組んでいると述べた。
「私はこのプログラムでは有利な条件が提示されており、ベトナムの中小企業等にとって非常に有用だと思います。当社においても取締役会においてローン申請を提案したいと思います。」とViet Thaiの代表は述べた。
このイベントの構想の中でUSAIDはまた、ベトナムの企業、特に繊維・アパレル企業がエネルギー問題に対応するのを支援するため、ベトナム低排出エネルギープログラム(V-LEEP)を立ち上げた。
V-LEEPはベトナムの公共機関および民間事業者を支援するためにUSAIDが出資するプロジェクトで、エネルギー部門における低排出エネルギーを実現するための効果的な政策、規制、インセンティブなどの環境面を確立するとともに、再生可能エネルギー開発および産業エネルギーの効率改善に対する投資を促す。
このプログラムでは、技術や資金へのアクセス、利益を生むプロジェクトの開発、ベトナムにおける持続可能な再生可能エネルギーの開発など、クリーンエネルギーを拡大させるために重要な開発を促進させることとしている。
現在ベトナムには6000社以上の繊維・アパレル企業があるが、そのほとんどが低付加価値でシンプルな製造プロセスを採用している一方で、この産業はCO2排出量が2番目に多くなっている。
USAIDのレポートによると、繊維・アパレル産業は毎年30億米ドル相当ものエネルギーを費やしているが、中でもエネルギーを最も使用する設備は、ボイラーと蒸気配管システム、コンプレッサー、照明システムであり、それらによく使用されるエネルギー源は石炭、電気、石油となっている。
エネルギーコストの増大は製造コスト増につながり、それが製品価格を押し上げ、さらにはベトナムの繊維・アパレル企業の競争力低下をもたらす。
ベトナム繊維協会(Vitas)のVu Duc Giang会長は、ベトナムの繊維・アパレル企業は、利益率の低下、外国パートナーからの納期短縮の要求、中国、インド、スリランカ、ミャンマーなどと同等の価格設定など、多くの困難に直面していると述べた。さらに、ベトナムが署名した自由貿易協定は、まだベトナム企業に恩恵をもたらしていない。
こうした状況下にあって、USAIDと世界銀行のプログラムがベトナム企業、特に繊維・アパレル企業の生産コスト削減と競争力強化を目的とした低排出エネルギー技術の適用を支援することが期待されている。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3012.html
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