英政府が司法権めぐる離脱交渉指針を発表
EUと離脱交渉を行っている英政府は23日、司法権をめぐる問題での交渉方針を示す政策文書を公表し、英国が離脱後はEU司法裁判所(ECJ)の「直接的な司法権」から外れるとの考えを示した。
英政府はこれまで、司法権を全面的に回復する方針を掲げていた。「直接的」という限定をつけたことはECJが離脱後も同国に一定の影響力を持つことを認めるもので、EUに譲歩した形となる。
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6月中旬に始まったEUと英国の離脱交渉は、まず主要な離脱条件についての協議を行い、これに「十分な進展」があったと加盟国が判断すれば、通商など将来の関係に関する話し合いに進む2段階方式で行われることになっている。
司法権の問題は、英国に居住するEU市民の権利保護、英国が拠出を約束したEU長期予算の分担金など最大1,000億ユーロに上るとされる「清算金」の支払い、英国の北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの国境管理問題とともに、第1段階の焦点だ。
英国のメイ首相は当初、同国がECJの管轄から完全に外れ、司法権の独立を目指す方針を打ち出していた。政策文書はECJがEU非加盟国に直接的な影響力を持つ「前例がない」として、司法権の独立を目指す姿勢を示し、英国に暮らすEU市民の権利をめぐる法的問題は英国の裁判所が管轄することなどを強調。
ただ、通商紛争などの仲裁手続きでECJが関与することを認める意向を表明し、英国が離脱後もECJの判例を尊重する方針も示した。
政策文書は欧州自由貿易連合(EFTA)に加盟するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインがEUの司法権から外れながらも、通商紛争でECJの判断を尊重していることなどを例に挙げ、こうした先例をモデルにEUと交渉を進める姿勢を示している。
英政府の方針転換には、EU側に歩み寄ることで、第1段階の交渉を早期に妥結したいという思惑がある。離脱後にEUと自由貿易協定(FTA)を締結することを想定し、EU法の支配から完全に抜けるのは難しいとの判断も働いたもようだ。しかし、国内の離脱強硬派からは、EU離脱の動機のひとつだった司法権問題で譲歩するのは受け入れられないとして反発する声が出ている。
これまでに英政府は、EUを離脱してから一時的な関税協定をEUと締結することや、英国の北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの国境に離脱後も検問所を設けない方針を示す政策文書を発表していた。21日には第2段階の交渉で扱われる通商問題に関する文書を公表。EU域内での販売が認められている英国製品を離脱後も追加条件なしで販売できるようにするというEU側の方針に対し、製品に付随するサービスも同様に扱うことを求める姿勢を打ち出した。
ソース:http://fbc.de/eur/eur4458/
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