【特別インタビュー】「ベトナムのファッション文化には強い美意識がある」
ハノイにあるLondon College for Design & Fashion(LCDF)の学生による21のコレクションを発表するGraduate Fashion Weekの中で、Lê Hương氏は、英国の教育コンサルタントで、この大学と何年も仕事しているDouglas G.M MacLennan氏と対談を行った。
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–英国におけるファッション教育の歴史について簡単に教えて頂けますか?
ファッション教育は1932年に英国の高等教育に導入され、当初は美術工芸家による授業や「刺繍」などが取り扱われていました。
しかし1960年代初頭まで、ファッション教育黎明期に教育を受けたデザイナーらが商業ファッション業界に受け入れられるのには、高いハードルがありました。
彼らは素晴らしい絵を描くことができるアーティストであったものの、どうやってそれをファッションに組み込むのか分からなかったり、衣服を製作することができる技術者であったものの、将来のデザイントレンドに対する美的センスを持ち合わせていなかったりしたためです。
この状況は、英国の高等教育においてファッションを指導するために、業界で実際に成功した大学卒業生が就任することによって、徐々に変化していきました。
彼らは実務経験に基づいてカリキュラムを再構成し、生徒がファッションの現場でデザイナーとして即戦力になるのを手助けするため、無益な教科や学生の支持を得ることができないようなテーマを削減していきました。
今やファッション教育は、英国のどの大学のコースにおいても最も要求水準の高い学科として知られています。これらのコースにおいては、手描きのスキルと現代のデジタル技術の両方が求められているためです。
–あなたはLCDFとどのように協働してきたのでしょうか?
私は英国のデザイン高等教育機関で45年間仕事をしてきました。またこの15年間は、海外の大学とも数多くの仕事を行ってきました。 私が最も情熱を注いできたのがファッションです。 私はカリキュラムを見直し、プログラムを改善するためにLCDFとも密に連携してきました。
今日数多くの問題点が指摘されています。
例えば、今日大学の卒業生が経営スキルを持つことは有用なことではありますが、それにはたった2年しかありません。
何をインプットし、何ができるようになるべきか過大な要求がなされていますが、一方でまずは基礎プログラムもこなす必要があります。
彼らがこうした高いスキルを習得した上で、芸術学士も取得するのであれば、もう1年は必要となるでしょう。彼らには2年間では余りある課題があるのです。
私などは69歳でありながら、今もってなお学び続けているのですから。
–最近の学生のデザインを見て、その可能性についてどのようにお考えですか?
今年の作品は布地に重点が置かれ、本当に素晴らしい布地が制作されたと心から思っています。
布地はファッションに人々を惹きつけ、ファッションを進化させる力があります。衣服がコピーされることはありませんが、布地がコピーされることはしばしばあります。
また私は、ここには1~2つの学びがあったと考えています。
例えば「原宿」では、商業的制約(市場の金額的水準の制約)がある一方で、どういった消費者がその衣料品を着用するのか正確に分かります。
1970年代スタイルに取り組む女学生がいましたが、あなたはコレクションを一目見れば、どういった人がこのデザインを着用するのか分かりますね。
テストはほんの1分20秒ですが、何も告げずとも人々はそれがどのようなものであるか、また実際にそれを身に着ける人がどんな人かを理解させることができるのです。
私はファッションショーに先立ちコレクションの50%を指導し、6種類の衣服が制作されました。学生は皆、実際に提案したい何かを持っています。一方で最も重要なのは、コレクションを制作することで何を学んだかです。これがデザイナーにとっての本当のテストなのです。
時々あなたはファッションショーに行くでしょう。キャットウォークの目的は注目を集めることです。
英国のデザイナーは大きなブランドを持っていないため、ファッションショーが人々の注目を集める一つの方法です。デザイナーらはあなたが実際に発表した作品を着用するとは思っていませんが、マスコミにとって魅力的なものとなるようにしています。一般の人々を楽しませ、デザイナーの名前を人々の心に刻み込むのです。
人々はなぜだか分からないけれども、名前だけは知っているということがあります。
それは私が実際にここで体験している事象です。私は日々進歩し、スキルを身につけていく学生を見ていますが、彼らが得ようとしているのは膨大な知識と学びです。
彼らは深く掘り下げて研究を進めています。時にその努力は成功したか、さほどでもないかの差はあれども、彼らはそうして学んできました。そしてそれが彼らの進歩していく道です。
–ベトナムのファッション業界の未来について、どのようにお考えですか?
地元のVũ Tường Vi氏の制作するドレスは、ベトナム古来の女神にインスピレーションを受けたものです。
私は非常にわくわくしています。私は2000年に観光客としてベトナムに来ました。
その際私は、ベトナムの文化が非常に美しいものであることに気づきました。
他にもいくつかこのような文化を持つ国はありますが、そうでないところもあります。コーヒーショップやレストランに行くだけで、美しい装飾を見ることができ、デザインに対するベトナム人の感性が表れています。
地元の若いデザイナーらによる作品を見ると、とても素晴らしいシルエットラインを持っています。そうした作品のいくつかは、実際に着用しているのはモデルの女性だけかもしれません。ですが、ベトナムは外部より製造サポートを受け、非常に高いレベルの生産が実現できるようになっています。
そして私は、今では海外へ開かれた存在になっているベトナムにおいて、中国のように、ベトナム政府によるデザイナーの支援体制を整えてほしいと考えています。
その点が本当の課題と思います。
あなたはどうやって人と違うものを作れるのでしょうか? 欲しいものが明確でなく、実物を見ることで欲しいものを理解するような人々に対し、あなたはどうやって競合相手を制して販売できるというのでしょう?
できるのはただ、競合他社より確実に優れたデザインを生み出すということなのです。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3000.html
>>あわせて読みたい 『ベトナム中流階級が選ぶファッションブランドとは? 〜成功者のための服〜【上編】』
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