2017年8月29日

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ベトナム・国民の生活水準が上がっても、最低賃金の引き上げは効果を得ず?

ベトナム・国民の生活水準が上がっても、最低賃金の引き上げは効果を得ず?

ベトナムでは、従業員の実質所得引き上げによる新しい賃金を阻害し、社会手当に妥協が生じる可能性があるとして、地域別最低賃金の引き上げに対する懸念が上がっている。

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賃金引き上げに伴う手当の縮小
  
2018年の地域別最低賃金引き上げについて協議する最終会議が8月7日に開かれ、関連当局は6.5%の引き上げで妥協に至り、承認に向けて首相に提出することになった。もし承認されれば引き上げは2018年1月1日から有効となるが、地域別最低賃金の引き上げにより従業員は本当に利益を被るのかという疑問は依然として残っている。
  
国家賃金評議会Doan Mau Diep会長付きの労働傷病兵社会省副長によると、企業側は賃金予算の増加を相殺するために、既存の手当を削減しなければならないという。
  
地域別最低賃金の引き上げに対する企業側の反対理由については、社会・健康保険費用の引き上げの負担にもある。
「最低賃金の引き上げにより、社会・健康保険の支出も増えます。企業側と従業員側はこの負担増加をともに負担しなければならず、結果として従業員の賃金は増えるものの、収入は減る可能性も大いにあります。」とHung Yen縫製総公社(Hugaco)のNguyen Xuan Duong 会長は述べた。
  
Duong氏によると、Hugacoには現在1万5000名の従業員がおり、もし当局案が承認されれば、社会・健康保険の支出は年間180億ベトナム・ドン (79万1820米ドル)増加するという。14あるHugacoの子会社の内9社のみが黒字を出しており、そのため支出の急増はHugacoの経営を難しいものにするという。
  
別の企業の代表は、現在企業収益の60%を給与の支払いに充てていると述べた。もし地域別最低賃金と保険料が引き上げられれば、企業側は既存の手当を削減せざるを得なくなる。
   
  
賃金の引き上げは生活の質を向上させるのか?
  
Hankyong JSC社の従業員であるDang Quoc Huynhさんは、現在公式給料では350万ベトナム・ドン(153.97米ドル)受け取っており、そこに70万ベトナム・ドン(30.79米ドル)の月間手当と残業代200万ベトナム・ドン(87.98米ドル)がつく。
  
このため、6.5%のもしくは23万ベトナム・ドンの増加はごく少ないものだ。仮にHankyong社の取締役会が既存の手当を削減または減らすと決定すれば、収入の変化はないことになる。地域別最低賃金の引き上げ案については、毎年徐々に下がっていっている。過去3年間の引き上げ率を見ると、2015年は15.1%、2016年は12.4%、そして2017年は7.3%であった。
  
しかしながらベトナム労働総同盟の労働者・労働組合研究所によって2017年に行われた企業従業員の給与と生活水準に関する調査によると、残業を望む従業員率は非常に高いものであったという。とりわけその割合は、外国投資の企業、衣料品・革製品、電気・電子、製造・処理でそれぞれ46.9%、40.5%、48.5%、47%であった。
  
残業を望む従業員の理由は、家賃、食料、子供の学費、そしてヘルスケアなどの基礎支出に十分な金額を稼ぎたいがためである。
そのため研究所は、地域別最低賃金の引き上げは従業員が最低限の生活水準要件を満たすには不十分であると結論づけた。
   
中央経済管理研究所のNguyen Dinh Cung所長は、毎年地域別最低賃金の引き上げについて会議を開く代わりに、地元当局は企業側も従業員側も利益を被ることができるよう労働市場の抜本的な改革を行うべきだと述べた。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3002.html
 
>>あわせて読みたい 『ベトナム・2018年の最低賃金は6.5%増の予定』
  

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