国家資本約2.7兆ベトナム・ドンの売却案
Vinatexが国家資本約2.7兆ベトナム・ドン(1億1900万米ドル)を全て売却する提案に関して意見を求める、政府官房の公文書が6つの中央省庁や局に発行された。本提案は、事業難の解決のために首相に提出されたVinatexの文書に含まれている。
VinatexのLe Tien Truong社長は、5兆ベトナム・ドン(2億2000万米ドル)の資本金と2.67兆ベトナム・ドン(1億1750米ドル)に相当する53.49%の国家資本所有割合をもって、同社が2015年1月に正式に株式化していることを説明した。
しかしながら首相決定No.58/2016/QD-TTgによると、Vinatexは政府が支配株主として残存する予定の企業一覧には掲載されていない。
「新しい時代の開発需要を満たすために、グループを経営と販売から支えることのできる専門的な経営力と市場開発力を持った株主をVinatexでは必要としています。そのため、Vinatexの国家資本の株式化を検討するよう首相に提案します。」とTruong 氏は述べた。
経営と事業にサポートできる株主を希望
Vinatexに興味を示した投資家がいるかを尋ねたところ、事業者が話に乗り出すのは政府が許可を与えた後になるとTruong氏は述べた。
繊維・アパレル業界は常に変動しているため、株式化に最適な時期に関しては2017年も2018年も大差ないとTruong氏は考えている。
株式化するにあたり、Vinatexは資本金の24%に相当する1億2000万株を戦略的パートナーに対して発行した。うち5000万株(資本金の10%) がVingroup JSCに配当され、7000万株(14%)がベトナム投資開発グループ(VID)に配当された。
しかしながら2年にも満たない2016年8月には、VIDが早期の株式譲渡を要請している。
VinatexはVIDの早期の株式譲渡に合意するよう株主達に相談しているが、現時点で譲渡は完了していない。
現在、Vinatexの戦略的パートナーは両者とも同産業で活動しておらず、繊維製品の生産、販売、輸出に関しては何の経験もない。
またVinatexには、資本の11.01%相当の5500万株を所有する約30の外国株主がいる。
Vinatexの2017年第二四半期の事業報告書によると、同社の収益は対前年同時期12%増となる4.27兆ベトナム・ドン(1億8788万米ドル)であった。
Vinatexの2017年上半期の累積収益は8.1兆ベトナム・ドン(3億5640万米ドル)、税引後利益は3166億ベトナム・ドン(1億3930万米ドル)であり、それぞれ対前年同時期より15%、4.5%増となった。
Vinatexは2017年の純収益を約16兆ベトナム・ドン(7億400万米ドル)、税引前利益を7490億ベトナム・ドン(3296万米ドル)と見込んでいるが、上半期の税引前利益は3303.6億ベトナム・ドン(1454万米ドル)に留まるなど、目標利益の44%しか達成していないことになる。
2015年のベトナム政府とアジア開発銀行(ADB)の合意によると、Vinatexは財務省(MoF)を債権管理機関として、ADBから1億米ドルの通常ローン(経過利子)と500万米ドルの特別ローンを受けることのできる、国有企業改革及びコーポレート・ガバナンス促進プログラム第二プロジェクトの資格を有しているとVinatexの代表者は述べた。
しかしながらMoFが貸株を担保とすることを拒否しているため、Vinatexはこれまでに6100万米ドルしか借りることができていない。
そのためVinatexは首相に対し、合意どおりにグループが融資を確保することでこの財政難解決の礎となるよう、貸株を担保とすることを認めるよう要請した。
※画像出典元:http://www.vinatex.com/Portal/Default.aspx
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