ベトナムのアパレル産業はTPP後退を難なく克服
景気の劇的な好転もなく、近年のプロジェクト数の減少にもかかわらず、ベトナムのアパレル産業はなお、今年上半期に既存プロジェクトからの増資を中心として7億5000万米ドルもの海外直接投資(FDI)を惹きつけている。
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既存プロジェクトに対する大規模な増資
2014〜2015年の2年間にアパレル産業に対する外国直接投資(FDI)はピークを見せた後、2016年以降外国直接投資(FDI)のプロジェクト数はかなり減少している。2017年の初めに、中国人投資家は南部タイニン省にあるBillion Vietnamポリエステル合成繊維工場に2億2000万米ドルを投資した。だがこの投資を別として、資本投資は既存のプロジェクトへの増資が主流となっている。
ベトナム繊維協会(Vitas)によると、今年の初めから、アパレル産業に対する最大の増資額となったのは、南部ドンナイ省とビンズン省への2つの投資案件であった。
ビンズン省では、Far Easternグループ(台湾)がポリエステル・合成繊維生産プロジェクトであるFar Eastern Polytex(Vietnam)社に4億8580万米ドルを増資した。このプロジェクトは2015年6月に着手され、今回の資本増強により総投資額は約7億6000万米ドルにも達した。
Far Eastern Polytex Vietnam社はこの5億米ドル近くの増資によって、北部バクニン省において25億米ドルもの増資を行ったSamsung Display Vietnam社に続く、2017年に認定された最大のプロジェクトの1つとなった。
台湾の大手企業であるTainan Spinning社はまた、ドンナイ省のLong Khanh工業団地にあるLong Thai Tu Spinning工場に対する投資額を増額させ、同社では5000万米ドルの増資を登記した。
この増資に先立ちTainan Spinning社は、ドンナイ省のNhon Trach 2 工業団地にあるLong Thai Tu Spinning 工場の第2期工事に着手した。このプロジェクトの総床面積は3万7000平方メートル、区画面積は18ヘクタールで、メイン工場、完成品倉庫が4棟、労働者用車庫、その他付随施設で構成されている。この工場は2016年末に操業を開始した。
Tainan Spinning社は台湾を拠点とする大手アパレル企業であるが、できるだけ早く市場シェアを拡大するために、ベトナムの既存の輸出市場を活用することを目的にこの地に工場を建設する予定としている。
このように前述の3つのプロジェクトだけでも、アパレル産業に対する外国直接投資(FDI)の資本総額は7億5500万ドルにも達している。
魅力的な投資環境
過去4年間におけるベトナム繊維産業への海外直接投資
2014年 16.4億米ドル
2015年 20.4億米ドル
2016年 12.97億米ドル
2017年(上半期) 7.5億米ドル
VitasのLe Tien Truong副会長は、米国がTPPから撤退した後も依然として数多くの繊維プロジェクトに資本が投下されているという事実は、良い兆候であると述べた。
「TPPが間違った方向に向かう中にあってもベトナムのアパレル産業に対する資本増強を続けるという外国人投資家の意思決定は、ベトナムの投資環境が依然として非常に魅力的であることを意味しています。」とTruong氏は述べた。
アジア最大の繊維輸出国の1つとして、ベトナムの繊維・アパレル輸出総額は2007年の77億8000万米ドルから2016年の280億2000万ドルへと約3.6倍も増加し、ベトナム全体の輸出額の約16%を占めるまでになっている。 2017年にはアパレル輸出額は約300億米ドルと、7%の成長が見込まれている。
近年、競争力のある人件費水準と優遇政策のおかげで、ベトナムはアパレル産業の投資家にとって理想的な場所となっている。過去10年間の繊維・アパレル業界に対する海外直接投資は、ベトナムが世界で5番目に大きな繊維・アパレル輸出国の1つになるのに大きく寄与した。
Vitasによると、TPPがなくてもベトナムの繊維・アパレル業界は、ベトナム・EU間FTA、ベトナム・韓国間FTA、ベトナム・日本間FTAなど数多くの自由貿易協定の恩恵を受けているという。
ベトナムの繊維・アパレル製品は現時点ではまだEU市場の3%しか占めておらず、正しい戦略を取りさえすれば、2018~2020年にベトナムの輸出が急速に伸びる余地があることを示している。
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2979.html
Photo by DonkeyHotey on Flickr
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